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宝彩という新しいかたち

最近、新しいシリーズとして「宝彩(ほうさい)」という作品を制作しました。
ジクレー版画には、これまで「光稀」という形で加筆を行ってきましたが、
もう一歩、手仕事の比重を高めた表現ができないかと、以前から考えていました。
その中で生まれたのが、
あえて途中までの状態で図柄を描き、
仕上げを一点ずつ変えていくという方法です。
完成した装飾をなぞるのではなく、
その時々の感覚で手を加えていく。
盛り上げによる立体的な装飾や、
わずかに揺らぐ輝き、
そして最後に添える一粒の天然石。
同じ図柄でも、すべてが異なる表情を持ち、
同じものは一つとして存在しません。
瀬織津姫という存在

今回の初作品として描いたのは、瀬織津姫です。
瀬織津姫は「祓いと再生」を司る存在として知られていますが、
この作品では、強く何かを流し去る姿ではなく、
大きな流れが動き出す直前の、
静かな気配のようなものを描いています。
女神の手の中に抱かれた龍は、
これから目覚め、動き出していく象徴です。
まだ形になりきらないもの、
しかし確かにそこにある兆し。
そうした“はじまりの気配”を、
この一枚に込めました。
原画のような密度を持ちながら、
版画として飾りやすいかたち。
そのあいだにある表現として、
宝彩は生まれました。
2026年4月には、初作品として
瀬織津姫「目覚めの時」を発表しています。
宝彩は今後も、少しずつ作品を重ねていく予定です。
宝彩の作品は、下記のページにてご紹介しています。




