東国三社巡り完全ガイド|順番・ルート・神話の由来を静かに辿る旅

目次

神話・由来・巡り方までを一つにまとめた“静かな旅の記録”

関東に暮らす人にとって特別な霊場とされる 東国三社(とうごくさんしゃ)

千葉と茨城の地に点在する、

  • 鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)
  • 香取神宮(千葉県香取市)
  • 息栖神社(茨城県神栖市)

この三社を巡ることは、古くから「伊勢に参れば東国三社にも」と言われ、心を整え、道を開く巡礼として親しまれてきました。三つの神社は、単に近い位置にあるわけではなく、日本神話の深い部分で互いにつながり合っています。


■三社と日本神話──国譲りに関わった神々

東国三社のうち 鹿島神宮・香取神宮 は、日本神話の「国譲り(くにゆずり)」に深く関係します。

国譲りとは、天照大御神が“地上の国の統治”をめぐって、出雲の大国主神と交渉した物語。この交渉の中心に立つのが、

  • 武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ/鹿島神宮)
  • 経津主命(ふつぬしのみこと/香取神宮)

という、二柱の“武の大神”です。彼らは国の安寧を期し、武力だけでなく「秩序を整える力」を象徴する存在。その二柱を祀る社が、東国に揃っていること自体が、この地の重要な役割を物語っています。

諏訪大社との関わり

国譲りで、大国主神の息子である 建御名方神(たけみなかたのかみ) が抵抗した際、これを退けたのが武甕槌大神とされます。敗れた建御名方神は諏訪へ逃れ、それが 諏訪大社の祭神 となる神話的由来となりました。つまり東国三社の神々は、信州・諏訪とも一本の線でつながっているのです。

「鹿」がつなぐ物語 ── 鹿島から奈良・春日へ

武甕槌大神には“神鹿(しんろく)”の伝承があります。

  • 鹿島神宮の鹿: 大神の使いとして鹿が神聖視され、現在も境内の「神鹿園」で大切にされています。
  • 春日大社の鹿: 奈良の春日大社には、「武甕槌大神が鹿島から白鹿に乗って遷座した」という伝承が残ります。

奈良の鹿が神の使いとされるルーツは、実はこの鹿島の地にあります。鹿は、神の移動と物語を運ぶ象徴なのです。


■三社の性格と雰囲気

それぞれの社は、同じ武の流れを持ちながら、まったく違う空気をまとっています。

鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)

ご祭神:武甕槌大神 凛とした気配が漂う、東国随一の古社。深い森を歩くと空気が引き締まり、奥宮は静寂の中に力の気配が宿ります。地震を鎮めるとされる「要石(かなめいし)」は必見。

  • 印象: 強さ/迷いを断つ/道を切り開く場所

香取神宮(千葉県香取市)

ご祭神:経津主命 全国の香取神社の総本社。気品のある静けさが境内を満たし、参道の深い森は心が落ち着いていくようなやわらかさがあります。

  • 印象: 穏やか/気高さ/心を調える場所

息栖神社(茨城県神栖市)

ご祭神:久那戸神、天乃鳥船命、住吉三神 三社の中で最も素朴で、土地の神の気配がそのまま残る社。入り口近くの「忍潮井(おしおい)」は日本三霊泉の一つ。澄んだ水の底に見える「男瓶・女瓶」は、静けさの中に不思議な気配を宿しています。

  • 印象: 清らか/素朴/再スタートの気持ちが整う場所

■アクセスと巡り方のコツ

東国三社は広範囲に点在しているため、車(レンタカー含む)での移動が基本となります。

おすすめの参拝順路

【鹿島神宮 → 息栖神社 → 香取神宮】 この順で巡ると、ルートが非常にスムーズです。

  • 東京方面から向かう場合: 東関東自動車道を利用し、「潮来(いたこ)IC」で降りて鹿島神宮へ。三社を巡った後、最後に香取神宮の参道でお土産を選んだり、近くの佐原(さわら)の町並みで食事を楽しんだりして、「佐原香取IC」から東京へ戻るルートが理想的です。
  • 犬吠埼(銚子方面)から向かう場合: 国道124号線を北上し、まず鹿島神宮を目指します。そのあと息栖、香取と南下して戻る形にすると、無駄な往復がなくストレスなく回れます。

所要時間の目安

  • 鹿島神宮: 60〜90分(奥宮・要石まで歩く場合)
  • 息栖神社: 20〜40分
  • 香取神宮: 60分前後
  • 移動時間: 各社間は車で20〜30分程度 (合計:休憩を含め、半日〜5時間ほど見ておくとゆったり参拝できます)

「車がない場合はどうすればいい?」

三社を直接結ぶバスはないため、公共交通機関派の方は「高速バス+タクシー」か、都内から出ている「東国三社巡りバスツアー」を利用するのが最もスムーズです。

まとめ

東国三社は、ただの観光コースではなく、古代の神話と土地の記憶が静かに息づく巡礼路です。

鹿島・香取の武の神々。息栖の“道”と“水”。そして国譲りでつながる諏訪や、鹿の伝承。それぞれの物語を知って歩くと、三つの社が点ではなく“線”として結ばれ、旅そのものが深い意味を帯びてきます。

忙しい日常の中で、ふっと心を立て直したいときに訪れてみてください。それぞれの社が、違った形でそっと背中を押してくれるはずです。

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この記事を書いた人

神仏画・龍神画・幻想絵画を描く画家・イラストレーター。
30年以上にわたり活動を続け、オラクルカードの制作や講師としても多くの経験を重ねてきました。
オラクルカードは国内外で出版され、代表作に『光の龍神カード』『日本の密教カード』などがあります。
また、星曼荼羅など、寺院からのご依頼による仏画も手がけてきました。
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