天照大神「陽光の庭」|黄金テンペラ15号作品

天照大神「陽光の庭」は、現時点での私の黄金テンペラ作品の集大成として制作した作品です。
テンペラ画を始めて約2年。
その間、さまざまな技法を試してきましたが、この作品では、これまで積み重ねてきた技法や経験を、この一枚にできる限り注ぎ込みたいという思いで制作しました。
オリジナルの天照大神を描く

天照大神をはじめ、日本の神々には、明治以降に描かれるようになってから、ある程度受け継がれてきた造形やイメージがあります。
もちろん、その伝統や美しさには深い敬意を抱いています。
しかし今回は、よく見かけるイメージをなぞるのではなく、一人の画家として、自分自身の天照大神を描きたいと思いました。
神仏画は自由な表現である一方、何を描いてもよいというものではありません。
私が神仏画を描く上で何よりも大切にしているのが、「神格」です。
神格とは何か
では、神格とは何なのでしょうか。
私自身、神格とは「技術」が七割、そして残り三割は言葉では説明できない何かではないかと思っています。
もちろん、画力やデッサン力、色彩、構成などの技術は欠かせません。
しかし、それだけでは神仏画にはならない。
画面の中に静かな威厳や気高さが宿るかどうかは、技術だけでは説明できないものがあります。
その「何か」は、神社やお寺を数多く巡れば得られるものではありません。
もちろん、神社仏閣から学ぶことはたくさんあります。
しかし、それだけで神格が宿るわけではないと思っています。
画家としてどう生きてきたのか。
どれだけ真摯に作品と向き合ってきたのか。
失敗を繰り返しながらも挑戦を続けてきたのか。
そうした積み重ねが、少しずつ作品の中に滲み出てくるものではないでしょうか。
もちろん、私自身がその神格を掴めているとは思っていません。
だからこそ、一枚描くたびに少しでも近づきたいと思い、試行錯誤を繰り返しています。
もしかすると、一生かかっても掴めないものなのかもしれません。
それでも探し続けること。
その姿勢こそが、神仏画を描き続ける意味なのだと思っています。
新しい技法への挑戦

今回の作品では、これまで取り入れたことのない技法にも数多く挑戦しました。
金箔の表現や刻印、背景の装飾など、一つひとつ習作を重ねながら本番へと臨みました。
新しい技法への挑戦は、失敗する可能性もあります。
しかし、その挑戦があるからこそ、新しい表現が生まれ、次の作品への扉が開かれます。
この「陽光の庭」は、現時点での集大成であると同時に、これから始まる黄金テンペラ作品への新たな出発点にもなったと感じています。
「陽光の庭」から「神庭」へ

作品名を「陽光の庭」と決めた時は、まだ個展タイトルは決まっていませんでした。
しかし振り返ってみると、この頃から私自身が「庭」という世界を描こうとしていたように思います。
神々が集い、光が降り、花が咲き、静かな祈りが満ちる場所。
一枚の作品の中にそんな世界を描きたいという思いが、「陽光の庭」という名前になったのでしょう。
そして、その思いは2026年に開催する個展のタイトル「神庭 〜神仏が集う杜〜」へと自然につながっていきました。
今思えば、一枚の作品から始まった「庭」が、個展全体へと広がっていったのかもしれません。
ジクレー版画について
テンペラ作品のジクレー版画化について、お問い合わせをいただくことがあります。
私はテンペラ画を一点ものとしての価値を大切にしたいと考えています。
そのため、小品から中作品につきましては、基本的に複製画(ジクレー版画)は制作しない方針です。
一方で、10号以上の大作につきましては、作品によってジクレー版画を制作することも考えています。
今回の「天照大神 陽光の庭」も、その候補作品のひとつです。
先日、作品の撮影を行いましたが、ジクレー版画として十分な品質のデータを残すことができました。
もちろん、実物に使用している金箔の輝きや刻印の立体感、マチエールまですべてを再現することはできません。
それでも、この作品の空気感や世界観をできる限りそのままお届けできるよう、現在準備を進めています。
完成しましたら、改めてご紹介させていただきます。
個展のお知らせ
本作品は、2026年11月に開催予定の個展にて展示販売予定です。
会場では、写真では伝わりにくい金箔の輝きや刻印の細かな表情、テンペラならではの質感もご覧いただけます。
ぜひ原画の持つ空気感を感じていただければ幸いです。
2026年11月6日(金)〜11日(水)
神楽坂 ayumiギャラリー
東京都新宿区矢来町114
※詳細は会期が近づきましたら改めてご案内いたします。

制作過程動画
最後に制作過程動画をご覧ください。



