こんにちは。幻想画家の奥田みきです。
今度、東京の早稲田にある天台宗の寺院、宝泉寺さんからのご依頼で「星曼荼羅」を制作することになりました。
2023年末に完成を目指して現在制作を進めており、その制作にあたり、随時途中経過を掲載していこうと思います。
制作日記は上から新しいものを掲載しますので、下に行くほど古くなります。
また、「星曼荼羅とは?」という解説も簡単に記事にしましたので合わせてごらんください。
(解説記事は目次から飛べます)
【制作日記】2022.11.28 背景塗り完成
下地作り
星供曼荼羅背景塗りの制作過程です。
まず最初にモデリングペーストで下地を 作ります。
背景塗り
最初はムラなどは気にしないで、どんどん色を置いていきます。
私は深い色が好きなので、一発で決める塗り方ではなく何度も色を重ねます。
回数にして15回くらい
途中で一旦削ります
2~3回塗ったところで、一旦削ってマチエールを出します。
今回の絵は上の方はフラットな青ですが、下の方に金箔の砂子を蒔くので
金箔が映える下地を作ります。
背景塗り完成
納得のいく色になるまで塗り続けます。
これでOKです。(写真よりはもう少し明るい青です)
この後下書きをトレースして、細かい塗りに突入です!
他の仕事と平行なので、2023年の11月上旬完成の日程で進めます。
また途中経過も掲載しますね。
【制作日記】2022.11.18 下絵完成
まずは、こちらが完成した下絵です。
上記が星曼荼羅の諸尊名です。
今回制作する星曼荼羅は、宝泉寺さんのご住職が
「現代の人が分かり易く馴染みやすいように」と、二十八宿と北斗七星を「星」の○のみで表記することになりました。
最初のラフ
上記が最初の提案の時に作ったサンプルラフです。
左が本来の形で、周りの諸尊は全て仏さまの形で描かれています。
右が今回決まったスタイルです。中央の釈迦金剛尊も少し大きめに描いています。
塗りは夜空と金色の華やかな感じに仕上げる予定です。
今はラフなので仏さまも黄色一色ですが、本番ではきちんと色が入ります。
サイズは50号で縦が1メートルちょっとです。(私としては過去最大サイズ)
今後も途中経過を掲載しますね。
星曼荼羅とは?~星曼荼羅・解説記事~
ここでは星曼荼羅について少し解説しますね。
曼荼羅というと、まず密教の「両界曼荼羅」を思い浮かべる方が多いと思います。
曼荼羅はその他にも色々あって、その中に「星曼荼羅」とよばれるものがあります。
星曼荼羅は馴染みのない方も多いと思いますが、「星祭り」という言葉をどこかで聞いたことがある方もいるかも知れません。
星供養の本尊が星曼荼羅
天空の星々は古くから人間の運命と結びついて考えられており、その星々を供養することで、災いや病気などを遠ざけることを祈りました。
それが「星供養」です。星曼荼羅はその本尊として用いられてきました。
星曼荼羅は釈迦金輪尊を中尊とし、周囲に九曜、北斗七星、十二宮、二十八宿をめぐらす曼荼羅で、北斗曼荼羅とも呼ばれています。
今回の制作では、北斗星と二十八宿を「星」の形だけで描く方向性になりましたが、本来はこれらも仏さまの形で描かれています。
星曼荼羅はどのように日本に伝わって来たのか?
星曼荼羅は釈迦金輪尊を中尊とし、周囲に十二宮や九曜、北斗七星をめぐらす曼荼羅です。
星曼荼羅に起源は、熾盛光(しじょうこう)曼荼羅から発展、展開されたとされています。
(熾盛光法(しじょうこうほう)とは、847年に唐から帰還した円仁が持ち帰った経典の一つで、特に天変地異などに効果があるとされてきました)
星曼荼羅の形状
星曼荼羅には色々な形があるのですが大きく分けて、方形と円形があります。
方形は【寛空様星曼荼羅】と呼ばれ、947~957に真言宗の僧侶、【寛空】が成立させました。
一方の円形が【慶円様星曼荼羅】であり10世紀末~11世紀初頭に天台座主も務めた【慶円】が成立させたと言われています。
円形の慶円様星曼荼羅は制作例が少くないのですが、有名なのは法隆寺にある現存最古の「星曼荼羅」で重要文化財にも指定されています。
私が制作している星曼荼羅は円形で、法隆寺のものをベースに描いています。
有名な星曼荼羅
法隆寺の他の作例として有名なのは「京都・三千院」、「三重・西蓮寺」、「和歌山・親王院」などの星曼荼羅です。
釈迦金輪尊を中心とし、周りを取り囲むように円形に広がっていますが、それぞれ少しずつ配置などが違っています。