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【イラコン体験談】少女漫画っぽくて画格が低い、と言われた話

「絵は綺麗に描けているけれど
少女漫画っぽくて画格が低い
もっとハイブローな路線を目指すように」

 

 

こんにちは、奥田みきです。

冒頭の文書は、私が昔某イラストコンテストに
入賞した時に実際に審査員の方に
言われた批評です。

今日はちょっとそのお話をしたいと
思います。

イラコンでの体験談

遡ること30年ほど前!

当初駆け出しのイラストレーターだった私は
「詩とメルヘン」という雑誌でのデビューを目指し
イラストを投稿していました。

当時、おおた慶文さん、きたのじゅんこさんらが
一世を風靡し、淡い色彩で描かれた
美女画が大変人気のある時期でした。

「詩とメルヘン」という雑誌を
覚えている方もいると思いますが

前記の方以外にも実力派で
今でも活躍されている画家さんも多数いて
叙情的なファンタジーアートを描かれていた方は
この雑誌かMOEのイラコンに投稿して
いた人が多かったです。

(MOEは今は絵本系の印象が強いですが
当時はもっとファンタジックな雑誌でした)

さて、私は作品の傾向から
「詩とメルヘン」の方に投稿していましたが、

幸い2年目で佳作賞で入賞することが出来ました。

その時に雑誌に掲載されたのが
上記のコメントです。

そしてこのコメントを書かれたのは
編集長であったやなせたかし先生です。

 

さて、最初にこのコメントを見た時には
良く意味が分らず、ただ良い評ではないと
いうことは分ったので、ただショックでした(笑)

「漫画とイラストは別」と言う時代

現在はイラストレーターというと
漫画・ゲーム系を思い浮かべる人も多い時代ですが
当時はイラストレーターの世界では

「漫画とイラストは別」

という感じがあり、
「趣味で漫画イラストを描いていた」というと
馬鹿にされた位です。

元々は趣味で漫画イラストを描いていた私は、
イラストレーターの仕事を始める時
きっぱり漫画系と決別するために
当時描いていた漫画絵は全部廃棄したくらいです。

(今思うと、取っておけばおもしろかったのに
と思いますが(笑))

そんなこともあって、
長い間漫画からも距離を置いていて、
普通に漫画を再び読むようになったのは
それから大分経って、
ゲームの仕事をする様になってからです。
(ゲームの仕事も色々ありましたので
これはまたいずれ。)

さて、そんな30年前ですが
ラノベやファミコン(?!)が出て来て
今の漫画系イラストレーターの走りの方はいましたが、
まだ「一部を除き漫画絵はNG」だった時代です。

この辺の話は同世代の元漫画家や
漫画系出身の人と話すと
皆同じ経験をしたと言います。

 

私はプロとしての仕事も始めていて
漫画絵から決別したつもりでいたのに
「漫画っぽくて画格が低い」
と言われたのはかなりのショックでした(笑)
そして「ハイブローってそもそもなに??」と
いう感じでした。

 

今の私が当時の絵を見れば、まさに評された通りで
「綺麗なだけ」の絵だというのは良く分かります。

つまり「だだ綺麗に塗っているだけの絵」と
「格調の高い絵画」の違いなのですが
この時の言葉は、私にとって
絵を描く上で大事な指針になりました。

ともかく「ハイブロー」に触れよう!

「じゃあ、ハイブローな物って何?」と考え
世の中で「格調高い」と言われているものに
触れて見ることにしました。

文学、音楽(オペラ)、観劇、など
今まで余り触れたかったものも
色々見てみました。

最初は背伸びで見ていたものも、
やはり「本当に良いもの」に触れていれば、
見る目も鍛えられてきますし

何百年も残っているものには
やはり「時代を超えた力」が宿っています。

その中から自分の好みに合うもの
魂を揺さぶられるものにも
沢山出会えました。

ワーグナーの「ニーベルングの指環」
シェイクスピア劇
バレエ

自分の中の一生の宝物になるような作品です!

鑑賞する能力=表現力ではない

良い物を見ていれば、
鑑賞する目は割と簡単に鍛えられるのですが、

 

実際に「自分が描く為の技量」は
ちょっとやそっとでは鍛えられません。

 

「画格が高い絵が何かは分った
ハイブローなもので好きなものも沢山できた
しかし、肝心の画力がまったく追いつかない!!」

このギャップに相当長い間(何十年と)
苦しみました。

それでも「絶対に描けるようになりたい」
とういう気持ちがあったので、
地道な訓練を続けます。
この辺の諦めの悪さは長所ですね。

長い、長い間、このギャップを埋めることが
出来なかったのですが
最近ようやく少しだけ、
思ったように描ける様になりました。

ちなみに絵って
「上達の扉」を一つ開けると次の扉が見えて、
そしてその扉の先にいる人も見えて来ます。

そして扉の先にいる人はみな

「ひとつづつ、扉を開けて昇って来たのであって、
いきなりそこにワープしたわけでもない」

というのも分ります。

30年経って残っている作家

そうは言っても多くの読者の方は
普通に綺麗な作品を好みます。

なので、当時の「詩とメルヘン」でも
人気のあるのは、淡彩や色鉛筆で
描かれた美少女画でした。

イラコンで1位になるのは
「ハイブローな画風」の人でしたが
人気の出るのは佳作の美少女画
という感じです。

普通に見ていれば
「結局は読者が好むものが良いんでしょう?」と
思いますが、(私もでした(笑)

やはり長いプロでやっている方々から見れば
「一過性の流行に乗った絵」と
「長く絵描きとして生き残れる絵」の
違いというのが分ります。
(当時のイラコンでも他に
2名ベテラン画家の方が審査員でした)

MOEのイラコンでも審査委員の画家さんが
流行の美少女画を描いていた人達に

「こういう淡いタッチの絵は
ちまたに溢れすぎていて、誰もが個性を失っている。
しっかりした絵を描けるようになってください」
と言うことを書いていたのを覚えています。

実際に、それらの雑誌で描いていた絵描きさんでも
消えてしまった人達が多く

今でもきちんと画家として生き残っているのは
「しっかりとした画力を持っている」人達です。

 

現代におけるコミックアート

ちなみに現在は現代アートの世界においても
コミック系の色が入った作品が出て来て
むしろコミック系が流行っている時代と言えます。

昔の「漫画っぽいはNG」とは時代は変わりましたが
現在においても、何でもかんでもOKではないと思います。

そして、今や巨大市場になっている
「漫画ゲーム系」のイラスト業界は
卓越した技術のイラストレーターが溢れていますので、
技術もセンスもとてもハイレベルな業界です。

私も短期間ですが
ゲーム業界にいましたので分りますが
流行のセンスと技術が要求されますので
「昔取った杵柄」では通用しない世界です。

 

おわりに

絵の活動をして行く中で
「キツい一言」を浴びることは
少なからずあります。

それがただの暴言なのか
「的をついた痛い一言」なのか
きちんと判断する能力も必要です。

「的をついた痛い一言」をバネに
成長していってくださいね。

 

 

 

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