昼と夜の瀬織津姫

瀬織津姫をテーマにした連作として、
「白露」と「蒼露」の2点を制作しました。
昼と夜、
それぞれ異なる時間の気配をひとつの流れとして捉え、
ひとつの輪のようにつながるイメージで描いています。
瀬織津姫には、
透き通るような明るさと、
底の見えない深い青。
相反するふたつの気配が、
ひとつの流れの中に同時に在るように感じています。
この連作では、
そのふたつの側面を、それぞれのかたちとして描き分けました。

盛り上げ技法とアクリルでの表現

今回の作品では、
盛り上げ技法を使いながら、
アクリル絵の具で制作しています。
これまでのテンペラでの盛り上げとはまた違い、
アクリルならではの自由さや、軽やかさを感じながらの制作となりました。
技術的な面でいうと、
アクリルでの盛り上げはこれまで試行錯誤を重ねても
なかなか思うように形にできず、苦戦してきた部分でもありました。
今回、ようやくひとつの方法にたどり着くことができました。
やり方自体はテンペラとはまったく異なりますが、
これまで培ってきた感覚やコツが、別のかたちで活きていると感じています。
偏光顔料による色の変化

彩色には金ではなく、
エフェクト絵の具(偏光顔料)を使用しています。
近年、このエフェクト顔料はさまざまな種類が登場しており、
技法に惹かれる身としては、試してみたくなる素材でもあります。
ただ、このきらめきのある絵の具は、
使い方によっては作品全体の印象が軽くなってしまうこともあり、
意外と扱いが難しい部分もあります。
今回の盛り上げとの組み合わせでは、
その質感とうまく噛み合い、
新しい表現として手応えを感じることができました。
光の角度によって色が変化し、
静かに表情を変えていく様子は、
実際に原画で見ていただくことで、より感じていただける部分だと思います。
11月の個展で展示

今回の作品は、当初はWEBでの販売を考えていましたが、
描き進めるうちに、
半立体のニュアンスや偏光顔料の美しさは、
まず原画で見ていただきたいと感じるようになりました。
そのため、この連作は
11月の東京個展で展示する予定です。
テンペラでは古典的な技法を積み重ね、
アクリルでは現代的な素材を取り入れていくこと。
その両方を行き来することが、
自分にとっては良いバランスなのだと感じています。
制作動画について
制作の様子や作品の質感については、
Instagramのリールでもご紹介しています。
盛り上げによる立体感や、
偏光顔料の色の変化は、
動画の方が伝わりやすい部分もありますので、
あわせてご覧いただけたらと思います。
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