■ 古事記の主役的存在

荒ぶる力と強い守護の側面を併せ持つ須佐之男命を、
テンペラ技法と金泥・金箔によって描いた新作です。
大地から立ち上がるような重厚さと、
静かにこちらを見据えるまなざしの対比を意識しながら、
「荒魂」と「和魂」が同時に宿るような姿を探りました。
■ 制作の背景 〜男神を描く〜
日本の男神はこれまでも何度か描いてきましたが、
本格的に「日本の神」として構図から衣装まで向き合うのは、
今回が初めてに近い取り組みでした。
月読尊も描いていますが、
あちらは中世的な雰囲気を取り入れているため、
“古事記の男神像”とはまた少し方向性が異なります。
長いあいだ本腰を入れられなかった理由の一つが、
古事記に登場する古墳時代の衣装でした。
自分の作風に落とし込む際、
どこまでアレンジしていいのか、
逆に日本の神としての輪郭をどこまで守るべきなのか──
その加減が難しかったのです。
ポーズはすぐに決められましたが、
衣装や意匠にはかなり悩みました。
おそらく今後も試行錯誤し続けると思いますが、
今回の須佐之男命はその通過点としての一枚です。

今回の作品では、
“荒ぶるだけではない、守るために立つ強さ”
を軸に構成しています。
剣を握る手の重さ、
衣に流れる金色の文様、
背後に広がる装飾の渦。
それらすべてが勇ましさだけではない、
神話の時間の蓄積から生まれる存在感につながっています。
■ 技法について

本作はテンペラを基調に、
金箔・盛り上げ装飾を組み合わせています。
テンペラ特有の“滑らかな肌の質感”と、
金の装飾が生む硬質な輝きが対照となり、
須佐之男命の荒々しさを立体的に浮かび上がらせています。
須佐之男命ジクレー版画
このジクレー版画は、テンペラ原画をもとに制作したデジタル版です。
原画の質感を引き立てるよう、光や色の調整を丁寧に施し、
飾りやすいアートプリントとして仕上げています。
テンペラの深い黒と本金の輝きとはまた違う、
“ジクレーならではの美しさ” をお楽しみいただける一枚です。

須佐之男命・ジクレー版画
須佐之男命の凛とした佇まいに目を留めるたび、
思考や感情の重なりが、そっと背筋を正すように整っていく——
そんな静かな感覚が生まれます。
古くから「八雲」をめぐる物語に象徴されるように、
内側の混乱をひとつずつ収め、澄んだ方向へと導いてくれる存在として。
この一枚が、あなたの空間に静かな秩序と、凛とした気持ちをもたらせたなら嬉しく思います。
各サイズ・仕様の詳細は、ショップページにてご案内しております。
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