天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、日本神話に登場する太陽の神で、もっともよく知られた女神のひとりです。
「天岩戸(あまのいわと)」の物語や、弟・須佐之男命(すさのおのみこと)との関係をはじめ、日本の神話世界の中心に位置する存在として語られてきました。
また、伊勢神宮の御祭神としても信仰されており、古代から現代まで、多くの人々が天照大御神に手を合わせてきたと伝えられています
この記事では、天照大御神の基本的なプロフィールや主なご利益、名前の読み方やゆかりの神社などを中心に、はじめての方にもわかりやすくまとめてご紹介していきます。
天照大御神をめぐる神話の流れをじっくり読みたい方は、こちらの「天照大御神の神話解説ページ」もあわせてご覧ください。
天照大御神(あまてらすおおみかみ)とはどんな神様?
天照大御神(あまてらすおおみかみ)とはどんな神様?
天照大御神は、天から世界を明るく照らす太陽の神で、日本神話における最高神のひとりです。
その名前は「天照(あまてらす)」=天や地上を照らす光と、「大神(おおみかみ)」=尊い神への敬称から成り立っています。
まさに「太陽そのもの」とも言える存在として、古くから人々に深く信仰されてきました。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)の読み方│天照大御神と天照大 の違い
天照大御神の名前には、文献によって微妙な違いがあります。
たとえば、
『古事記』では「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」と表記され、
一方で『日本書紀』では「天照大神(あまてらすおおかみ または あまてらすおおみかみ)」とされています。
近年では、やさしい表記として「アマテラス」とカタカナで表されることも多く、
読み手にとっても親しみやすくなっています。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)の性別
時代や文献によって諸説ありますが、現在では天照大御神は「女神」として広く知られています。
一部では「男性神」とする解釈もありますが、本記事では女神としての天照大御神をご紹介します。
文献には性別が明言されていないものの、以下のような描写から女神とされてきました:
- 別名の「大日孁貴(おおひるめのむち)」の「ひるめ」は「日の女神」を意味する言葉
- 『日本書紀』では、弟・須佐之男命(すさのおのみこと)が**「姉」と呼んでいる**
- 機織りをする場面など、女性的な描写が複数ある
こうした背景から、天照大御神=女神という認識が、現代では一般的となっています。




天照大御神をめぐる主な神話
天照大御神は、日本神話の中でさまざまな物語に登場します。代表的なものを簡単に挙げると、次のようなお話があります。
- イザナギの禊から誕生し、高天原を治めるようになる物語
- 弟・須佐之男命(すさのおのみこと)との対立と、天岩戸に隠れて世界が闇に包まれる神話
- 大国主命(おおくにぬしのみこと)の「国譲り」を見届け、天孫降臨へつながっていく物語
それぞれのエピソードを、誕生から天岩戸・国譲り・天孫降臨・三種の神器まで順番に読みたい方は、こちらの神話解説ページでくわしくご紹介しています。
▶ 天照大御神(あまてらすおおみかみ)の神話|天岩戸・国譲り・天孫降臨・三種の神器まで解説
天照大御神(あまてらすおおみかみ)のご利益
天照大御神といえば、やはり「太陽の神」として知られています。
そのため、万物を照らす光のように、希望や活力をもたらす存在として信仰されてきました。
古来より「国を治める神」「皇室の祖神」とされており、特定の願いに限らず、願望成就や開運全般にご利益がある神様といわれています。
また、天照大御神は、現代では「光」「真実」「調和」などの象徴としても語られることがあります。
これは、天岩戸の神話に見られるように、闇を照らし、秩序と平和をもたらす役割を果たしていたことに由来しています。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)を祀る神社


天照大御神(あまてらすおおみかみ)が祀られている総本社は、三重県伊勢市にある伊勢神宮です。
本来の正式名称は「神宮」ですが、他の神宮と区別するために、一般には「伊勢神宮」という名前で親しまれています。
天照大御神が八百万の神々の中心的な存在であるように、伊勢神宮もまた、全国にある神社の中でも特別な位置づけを持つ「本宗(ほんそう)」とされています。
かつて第11代・垂仁天皇の皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)は、天照大御神をお祀りするにふさわしい土地を求めて全国を巡りました。
そして伊勢の地に辿り着いたとき、天照大御神から「この国に留まりたい」という神託を受け、現在の内宮がある場所に祠を建てたことが、伊勢神宮のはじまりと伝えられています。
なお、天照大御神をお祀りする神社は「神明(しんめい)神社」と呼ばれ、全国におよそ5,000社以上存在しています。


天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)
所在地:宮崎県西臼杵郡高千穂町
「天岩戸神話」にゆかりのある神社で、天照大御神が岩戸に隠れた場所とされる神聖な地です。
このほかにも、天照大御神を祀る神社は全国各地にあり、地域の守り神として広く信仰を集めています。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)│お蔭参りが大流行
伊勢神宮の歴史を語るうえで欠かせないのが、「お蔭参り(おかげまいり)」という大規模な集団参拝です。
江戸時代、まだ道も整備されていなかった時代に、伊勢神宮への参拝が一大ブームとなりました。
当時、なんと全国から数百万人もの人々が伊勢神宮を目指したといわれています。
現在の東京から伊勢まででも、徒歩で約2週間かかる道のり。それを、東北や九州など遠方から来た人々は、100日以上かけて歩いたとも伝えられています。
この壮大な出来事からも、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、いかに多くの人々にとって特別な存在だったかがうかがえます。
今では交通手段も整い、気軽に参拝できる時代になりましたが、当時の人々が命がけで「一生に一度の伊勢参り」に挑んだことを思えば、天照大御神の尊さをより深く感じることができるのではないでしょうか。


天照大御神(あまてらすおおみかみ)は実在した?
「天照大御神は実在したのか?」という問いには、はっきりした答えはありません。
ただ、日本最古の書物『古事記』には、天照大御神が初代・神武天皇へと続く系譜に登場しており、「天皇の祖先神」としての位置づけがなされています。
このため、実在の人物をモデルにしている可能性や、「卑弥呼と同一人物ではないか」とする説もあります。
一方で、「父神の左目から生まれた」「岩戸に隠れると世界が暗闇に包まれた」といった神話的描写から、架空の存在と見る声も少なくありません。
とはいえ、日本の神様は人間のすぐそばで見守る“身近な存在”とされてきました。
天照大御神もまた、弟・須佐之男命に悩み、岩戸に籠るなど、人間味あふれる神様です。
実在したかどうかよりも、「身近に感じられる存在として敬意をもつこと」が、日本の神様との付き合い方なのかもしれません。


まとめ
最後まで読んでくださった方は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の偉大さと同時に、少し意外で人間味のある一面も感じられたのではないでしょうか。
もし、どこか親しみや愛着を感じていただけたなら、近くの神明神社を訪れてみたり、穏やかな日差しの中でひとときを過ごしてみるのもおすすめです。
太陽の光を通して、天照大御神とのささやかな繋がりを感じてみてくださいね。






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