天鈿女命(あめのうずめのみこと)とは
― 神々の夜明けを導いた、芸能と祈りの女神
日本神話に登場する女神・天鈿女命(あめのうずめのみこと)は、「岩戸開き神話」で知られる、太陽神アマテラスを誘い出した神として語り継がれています。
彼女の舞と笑いは、世界に再び光をもたらしました。
その姿は、単なる芸能の女神にとどまらず、神々と人々をつなぐ“祈りの舞”を象徴する存在とも言えるでしょう。
岩戸開きと天鈿女命の役割
アマテラスが天岩戸に隠れてしまい、世界が闇に包まれたとき。
八百万の神々が集まり、どうにかして太陽神を外に出そうと知恵を絞ります。
そのとき舞台に立ったのが、天鈿女命でした。
彼女は胸をはだけ、桶の上で足を踏み鳴らしながら、激しくも神聖な舞を踊ります。
その大胆な踊りと笑いが神々を喜ばせ、にぎやかな音に誘われたアマテラスは、思わず岩戸を少し開けてしまうのです。
その瞬間、世界に光が戻った――。
天鈿女命は、ただ面白おかしく踊ったのではありません。
「祈り」と「命をつなぐ力」としての芸能を、その舞によって体現したのです。
天岩戸と天照大神に関しては下記の記事でご紹介しています。


芸能の起源とされる神
この神話以来、天鈿女命は「芸能の祖」として信仰されてきました。
舞踊、音楽、演劇、さらには表現全般に関わる人々にとって、心のよりどころとなる存在です。
また、古代では巫女的な存在でもあったとされ、舞を通して神とつながる役割を担っていたとも考えられます。
そこには、芸能がただの娯楽ではなく、「神に捧げるもの」であった原点が感じられます。


ご利益と信仰
天鈿女命は、次のようなご利益で信仰されています。
- 芸能・芸術の上達
- 表現力・伝える力
- 良縁・夫婦円満(猿田彦命との関係より)
- 人間関係の潤滑
- 明るさ・社交性の向上
その明るく陽気な姿から、「人生の転機に光をもたらす存在」としても信じられており、芸術家や舞台人はもちろん、人生を前向きに歩みたいと願う人々に親しまれています。


天鈿女命と猿田彦命


岩戸開きののち、アマテラスの命によって、天孫ニニギが地上に降りる「天孫降臨」の場面でも、天鈿女命は登場します。
このとき、地上への道案内役として現れたのが猿田彦命。
その神に天鈿女命が対面し、後に夫婦となったとされています。
天と地をつなぐ神と、芸能で神と人とをつなぐ神――
ふたりの関係は、“導きと祈り”の象徴とも言えるかもしれません。


天鈿女命を祀る神社
天鈿女命を祀る神社はいくつかありますが、特に有名なのは以下の通りです。
椿大神社(三重県):猿田彦命とともに祀られており、芸能関係者の参拝も多い
椿大神社(つばきおおかみやしろ/三重県鈴鹿市)
天鈿女命を主神とする全国でも数少ない神社です。
芸能や鎮魂の祖神として、また縁結びや夫婦円満を願う人々に深く信仰されています。
火之御子社(ひのみこしゃ/長野県・戸隠神社内)
戸隠五社のひとつで、天鈿女命が主祭神として祀られています。
舞や芸能の神様として知られ、縁結びのご利益でも有名です。
大田神社(おおたじんじゃ/京都府)
古くから芸能上達や延命長寿の神として信仰されてきました。
天鈿女命を静かに祀る、小さなお社のたたずまいが美しい神社です。
荒立神社(あらたてじんじゃ/宮崎県高千穂町)
天孫降臨の伝承地・高千穂にある神社で、猿田彦命とともに天鈿女命
どの神社も、創造や表現の源泉となるエネルギーに満ちており、訪れるだけで心が明るくなるような力を感じます。


まとめ:神々に笑いと光をもたらした女
天鈿女命(あめのうずめのみこと)は、
岩戸の前で舞い、世界に光をもたらした女神として知られています。
その姿は、ただ華やかな芸能の神というだけでなく、
表現することの力強さや、祈りの原点を私たちに教えてくれる存在でもあります。
現在も全国の神社で、芸事の上達や縁結び、夫婦円満などを願う人々に親しまれており、
とくに舞や創作に関わる方にとっては、心強い守り神といえるでしょう。
芸術や創作を通じて、誰かの心にそっと光を届けたい──
そんな想いと響きあう、魅力あふれる神さまです。


日本の神様ジクレー版画


現在、こちらの作品は ジクレー版画(複製画)として販売しております。
SSサイズ(7,800円~)から飾り映えのする大判サイズまで、お部屋の空間やご用途に合わせてお選びいただけます。
幻想的な瀬織津姫の気配を、どうぞ日常の中で静かに感じてみてください。
絵を眺めるたびに、心の奥の澱(おり)がすっと清められ、静けさが満ちていく――
そんな“祓いと再生”のエネルギーを、この一枚から感じていただければ幸いです。
各サイズ・仕様の詳細は、ショップページにてご案内しております。










