こんにちは。幻想画家の奥田みきです。
弁財天・弁才天とは、美しさと知恵、そして福徳を象徴する女神のことです。
古代インドから日本へと渡ってきたこの神秘的な存在は、数世紀にわたり信仰されてきました。弁財天には様々な顔があります。
「弁財天はどこから来たの?」
「八臂弁財天って何?」
「弁財天と弁才天の違いは?」など
八臂の戦士から芸術と知識の守護者まで、弁財天の多面性とその魅力を深く掘り下げていきたいと思います。
皆さんにもこの「福徳の女神」の魅力が伝わることを願っています!
弁才天はインドのから来た神様~サラスヴァティ~
まずは弁財天の起源についてお話ししますね。
弁財天は、もともと古代インドの美しい川の女神であるサラスバティが仏教に取り入れられたものです。
サラスバティは琵琶のような楽器を持つ、川の化身とされる女神様です。
その後、仏教とともに日本にも伝来しましたが、神仏習合によって神道にも取り込まれ、日本文化の中で独自の変容を遂げました。
弁財天・弁才天とは何の神さま?
弁財天は水の神様です。
川の流れは常に囁くように妙音を響かせることから、音楽の女神、技芸文芸などの才能の女神として信仰されてきました。
インドから日本に入ってからも、水に関連する女神であることから、各地の湖、池、島、海辺などに祀られており、有名な神社やお寺も数多くあります。
各地の神社やお寺に行くと、本当に沢山の弁天堂があるよね!弁才天に関する神社仏閣は下記でもご紹介します!
弁財天の所属は天部です
仏教では天部に属します。
弁財天・弁才天の家族
同じ天部の、梵天の妃と言われています。
眷属(眷属)には善財童子をはじめ、十六人の童子がいます。
様々な姿がある?! 八臂弁才天など
さて、弁才天と一言で言っても、手が沢山あったり、琵琶を弾いていたり、裸の姿だったり、色々な姿を思い浮かべるかと思います。
各地の神社やお寺に行くと、本当に沢山の弁天堂があるよね!弁才天に関する神社仏閣は下記でもご紹介します!
答えは…
「どれも弁才天です!」
弁財天のお姿は実は一つではなく、大きく分けて三つのお姿があります。
見た目もそうですが、功徳もそれぞれ違っています。
- 一番初期の八臂で武器を持ったお姿
- 通常の琵琶を持った形の弁才天、
- そしてもう一つが手が八臂で頭の上に鳥居や宇賀神を乗せた宇賀弁才天です。
下記から一つずつご紹介しますね!
八臂弁財天
まずはこちら。八本腕がある弁才天です。
こちらは初期の八臂弁才天の戦神のお姿です。
現在よく見られる「宇賀弁才天」とは異なり、頭に鳥居や宇賀神を乗せていないのが特徴です。
「金光明最勝王経」というお経にその姿が記述されており、鎮護国家のために祈られ続けてきました。
持物は弓、矢、剣、斧など全て武器で、戦神としての姿が強調されています。
つまり、最初の弁財天さんの姿だね!
二臂の弁才天
こちらは琵琶とバチを持った唐風の衣装を身にまとった弁才天です。
上記の絵のようなお姿で、一般的に「弁才天」と言えばこの姿を思い浮かべることでしょう。
唐風の衣装を身にまとった美しい女性として表現されています。
衣装を身にまとっている以外にも、江島神社に祀られている裸体の「裸弁才天」も有名だね。こちらも「二臂の弁財天」だよ!
宇賀弁才天・宇賀神と習合した弁才天
神仏習合したお姿
もう一つ有名なのが、八臂のお姿で、頭に小さな宇賀神と鳥居を乗せた弁財天です。
現在、「八臂弁才天」と言えば、この「宇賀弁才天」の姿を多く見かけることでしょう。
宇賀神とは?
宇賀神ってなに?
宇賀神と弁財天
宇賀神は日本の神ですが、日本神話には登場せず、出自不明の神とされています。
人頭蛇身でとぐろを巻き、弁財天の頭上にいる時には翁の顔をしています。
この宇賀神が神仏習合により弁財天と習合して「宇賀弁才天」となったのです。
鳥居が頭に乗っていることからも分かるように、こちらは経典に記述されない根拠不明のお姿とされています。
持物は八臂弁才天と同じく剣、弓、矢、斧などの武器が主ですが、鍵や宝珠なども付け加えられ、財宝の女神としての面が強調されています。
弁財天・弁才天とは?│弁才天のお姿・図解~
最後に分かり易く図にまとめてみました。
どの弁才天にもそれぞれの魅力がありますよね!
「妙音天」と「弁才天」の違い
弁才天の妙音
ところで、弁才天の記述では「妙音を響かせる女神」という表現がよく見られます。
一般的に琵琶を弾いている弁才天は「妙音弁才天」と記載されることもありますが、一説には、「妙音天」と書く時は男性のお姿で、「弁才天」と書く時は女性のお姿と区別されることもあるようです。
そのため、ここでは琵琶を弾いている弁才天であっても、「妙音弁才天」ではなく「弁才天」と記載しています。
弁財天と弁天様の違いは?
弁才天は、辯才天や、辨財天など色々な漢字で表記されます。
サラスバディーの漢訳は、「弁才天」もしくは「辯才天」です。
財宝の部分が強調される時には、「「辨財天」や「弁財天」が使われます。
神社仏閣で、どの表記を使っているのか意識してみるのもおもしろいね
当初は才能の女神だった
才能は富をもたらすことから、「才」の字が「財」に置き換えられ、富をもたらす女神としても信仰されるようになりました。
この名の通り、本来は「才能の女神」でした。その後、財宝の部分が強調され、「弁財天」の表記も付加されるようになりました。
弁財天のご利益
どのお姿なのかによってご利益も変わってきますが、幅広いご利益があるんだ。
戦勝、勝負事、国家鎮護
学問・弁舌(べんぜつ)、音楽、
増益、延命
弁財天がついている人の特徴は?
ここでは弁財天がついている人、弁財天に好かれている人の特徴を記載しています
弁財天がついている人は才能豊か!
弁財天がついている人は、多くの才能や技術に恵まれていることが多いです。
また学問や研究と親和性が高く、芸術にも造詣が深い人も弁財天との繋がりが深いです。
弁財天がついている人は困難に立ち向かえる
弁財天がついている人は、世の中の不利な状況をよく理解しながらも、どんな困難な状況でも前に進んでいく強靭な心を持っています。
このような人は、意志と決意によって、困難を乗り越え、やがて大きな力と豊かさを手に入れることができます。
弁財天がついている人は龍神にも好かれている
弁財天と龍神の加護を持つ人は、しばしば夢を実現するために必要な複数の道や資源を得る機会に恵まれます!
弁財天のご加護だけでも大きいのですが、さらに龍神とも繋がることによって、多くの幸運と守護をもたらし、大成功を収めることが出来ます。
神社で祀られている弁才天
弁才天は仏教における女神ですが、日本では神社にも祀られています。
神社やお寺に「弁才天」と名前が付いているにも関わらず、奉祀されている神様が市杵嶋姫命(いちきしまひめ)であることに気付いたことはありませんか?
市杵嶋姫命は、日本神話に登場する宗像三女神の一人で、神仏習合の時代には弁才天と同一視されていました。
しかし、明治時代の神仏分離政策により、仏教の神々と神道の神々は明確に区別されるようになりました。
その結果、市杵嶋姫命が主祭神であっても、「弁才天」という名前が残されている神社が今も存在します。天川大弁才天社などがその例です。
神仏習合・神仏分離とは?
日本の土着の神を祀る神道と外来の仏教が互い影響し、融合、調和したことを言います。明治になると神仏習合が禁止され、神と仏ははっきりと区別されるようになります。 (神仏分離)
弁財天の真言・梵字
弁才天のご真言は
オン ソラソバテイエイ ソワカ
梵字は「ソ」と読みます。
弁財天を祀る神社・三大弁財天
弁才天を祀った神社やお寺は各地に沢山あります。
どの神社を「三大」とするかは諸説ありますが下記を含めて「五大弁天」とすることもあります
天河弁才天社
奈良の天川にある神社です。
アーティストなどにも人気のあるパワースポットです。
厳島弁才天
世界遺産としても有名な厳島神社です。
広い境内の荘厳な神社です。
竹生島神社
琵琶湖に浮かぶ竹生島の神社です
こちらも有名なパワースポットです。
江島神社
首都圏から近いこともあり、とても人気のある神社です。
有名な「裸弁才天」も下記の写真のお堂にあります。
不忍池辯才天堂
上野の公園内にあります。ご本尊の「辯才天」は秘仏で、年に一度9月に開帳されます。
こちらの弁才天は八臂辯才天です。
弁財天白龍王大権現
福井県吉田郡永平寺町竹原にある神社(権現さん)
竹原弁財天とも呼ばれています。
戦国時代に消失しましたが、戦後復興されました。
福井県最強のパワースポットとも言われています。
七福神・弁天様
現在、七福神の一人として多くの人々に親しまれている弁財天は、男性陣の中で唯一の女性神として、ひときわ鮮やかな存在感を放っています。
「弁天様」とも親しみを込めて呼ばれることも多いですが、いずれも同じ神様を指しています。
下記の表では、弁財天を含めた七福神それぞれの詳細を解説しています。
弁才天 (べんざいてん) 七副神で唯一の女性。財福、音楽などを司る女神。 | |
福禄寿 (ふくろくじゅ) 道教の神で、南極星の化身。 長いひげと長い頭が特徴。健康や長寿の神さま。
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布袋尊 (ほてい) 弥勒菩薩の化身とも言われています、 開運や子育ての神様です。
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毘沙門天 (びしゃもんてん) 四天王の一物で、武将の姿をしています。 戦勝、厄除けや大願成就。
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大黒天(だいこくてん) 元々はヒンドゥー教の神。最初は恐ろしい姿をしていたが 後に大黒天と結ぶ付き、終売繁盛の神さまへ。
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寿老人 (じゅろうじん) 道教の長寿と福禄の神。子孫繁栄、健康の神さまです。
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恵比寿 (えびす) 日本の神で、鯛と釣り竿を持っている 商売繁盛・五穀豊穣の神さまです。
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弁財天と白蛇
白蛇は学問や蓄財をもたらすと言われ、弁財天の使いとされています。
実際に「白蛇弁財天」の神社もあり共に祀られていることも多いです。
また、上記でもご紹介している「宇賀神」との関わりもあり、白蛇と弁財天は結び付いて考えられています。
弁財天と龍神
龍神と弁財天の関わりで有名なのは「江ノ島神社」でしょう。
現在江ノ島には沢山の龍神様が祀られており、「五頭龍と天女(弁天様)」の逸話もあります。
龍神が弁財天の眷属だという記載は経典にはありませんが、弁財天は各地の様々な民話などと結びついて、独自の解釈や信仰が広がっていったと考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
弁才天は人気があり、伝統的なものから近代的な物まで様々なスタイルがあります。
仏教美術の面からみても、大変興味深い女神様です。
また記述した様に、市杵嶋姫命(いちきしまひめ)のと関わりや、龍、蛇の伝承なども色々あって、今後ももっと掘下げて調べていきたいと思う仏さまです。
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