【八大龍王は仏教の守護者!】意味や役割を徹底解説!神社と龍神祝詞も紹介

【八大龍王は仏教の守護者!】意味や役割を徹底解説!神社と龍神祝詞も紹介

皆さま、こんにちは。
幻想画家の奥田みきです。

今回は、仏教の世界に登場する八大龍王/八大竜王(はちだいりゅうおう)という龍神についてご紹介しながら、

「どんな龍神様なの?」
「どんなご利益があるの?」
「八大龍王を祀る神社は?」

といった疑問に分かりやすくお答えしていきます。

八大龍王は、仏教の守護神であり、私たちがよく「龍神様」と呼ぶ神様そのものでもあります。

八大龍王について少しでも深く知っていただき、龍神様への親しみや尊さなどを感じていただけましたらうれしいです!

八大龍王/八大竜王とは?

八大龍王(八大竜王)は、仏教世界における龍神であり、八部衆と呼ばれる仏法を守護する八尊の神様の総称です。
八大龍王は、お釈迦様の十大弟子と共に、眷属として仏法を守るという役目を担っています。

仏教における八大龍王/八大竜王

八大龍王は、仏教の数ある経典のうち『法華経』に登場します。
法華経は、聖徳太子の時代に日本に伝来し、天台宗の開祖の最澄によって全国各地に広まりました。

法華経の教えは、一言で要約すると「観音様を信じれば誰もが平等に成仏できますよ」というもの。
その法華経の最高位である観音菩薩の守護神として、八大龍王もまた人々に信仰されてきました。

 

八大龍王は仏教を守護する役割なんだね!

水神としての八大龍王/八大竜王

(上記の写真は空海が雨乞いをした「神泉苑」です。)

龍神様には、雨を降らせたり滝を登る姿が思い浮かんだりと「水」を連想される方も多いと思います。
そのイメージ通り八大龍王は水神であり、特に農耕民族の日本人にとっては、誰もがご利益を預かりたい神様でした。

 

密教を日本に広めた空海は、桓武天皇から雨乞いの願いを受けて、京都市に今もある神泉苑という霊場の池から龍神(善女竜王)を天に昇らせ、実際に雨を降らせたといいます。

 

古来から土着信仰の対象だった龍神は、最澄や空海の時代から本格化した神仏習合によって仏教の八大龍王と交わり、信仰も全国各地に広まっていったのですね。

 

恵の雨を降らせてくれる「水神」さまでもあるんだね

インドの八大龍王/八大竜王

日本の土着信仰とうまく習合した八大龍王は、元々は仏教が誕生したインド発祥の神様です。

そのインドでの八大龍王の見た目は、実は私たちが「龍」と聞いて連想する、日本昔ばなしのような典型的な姿ではありません。

インドでの龍は「蛇」の形そのもの!

インドにおける龍は、「ナーガ」と呼ばれる蛇の神様であり、姿も架空の生き物ではなく、リアルな蛇の姿をしています。

そんなインドでの八大龍王は、蛇のイメージと組み合わさって、8つの頭を持つコブラのような姿でよく描かれます。

ナーガ自体も元々はインドの土着の蛇信仰が
ルーツとなっていて、
国や土地によって神様の姿形が変化するところも、
仏教の特徴であり魅力だね!

8人の龍王について

八大龍王は、その名の通り8人の龍族の王様の総称です。

続いては、八大龍王それぞれの龍王について簡単にご紹介します

八大龍王像

八大龍王は仏像として祀られる時には、主に武将の姿で、背中~頭に龍を載せた形で表現されますが、「龍そのもの」の姿で表現されることもあります。
下記の記事の中では、龍の姿の画像を使用しています。

1.難陀龍王(なんだりゅうおう)

難陀龍王は、「歓喜」の意味を持ち、最も優れた龍王と称される神様です。

千手観音の眷属である二十八部衆の一尊であり、密教の雨乞いの儀式にて祈りが捧げられる、日本の龍神様を象徴するような神様でもあります。

 

2.跋難陀龍王(ばつなんだりゅうおう)

跋難陀龍王は、「亜歓喜」という意味を持ち、難陀の弟にあたる龍神です。

難陀龍王と共に当時のインドにあったマガダ国を守ったり、お釈迦様の誕生の際に甘露を降らせて祝福したりと、様々な逸話が残されています。

 

3.沙羯羅龍王(しゃがらりゅうおう)

沙羯羅龍王は、「大海」という意味を持ち、竜宮城に棲むとされている海の神様です。
沙羯羅龍王にも、恵みの雨を降らせて人々を飢餓から救ったエピソードが残されています。

また沙羯羅龍王の娘は、当時の仏教としては異例の「年若い女性にも関わらずお釈迦様の説法を聞いて即座に成仏した」という逸話でも有名です。

 

4.和修吉龍王(わしゅきつりゅうおう)

和修吉龍王は、「宝有」という意味を持つ、9つの頭を持つ龍神です。
仏教の世界観では、この世の中心にある須弥山(しゅみせん)という山を守護する神様として描かれます。

また日本では、和修吉龍王は『九頭竜伝承』に登場する九頭竜大神とも同一視されています。

 

5.徳叉迦龍王(とくしゃかりゅうおう)

徳叉迦龍王は、「視毒」という意味を持つ龍神です。
その意味の通り徳叉迦龍王は、凝視した相手を絶命させる力があると言われています。

どこか恐ろしいイメージを感じられますが、徳叉迦龍王は「人々を惑わす邪鬼を退治する」という役目を担うことから、信者にとって非常に心強い神様でもあります。

 

6.阿那婆達多龍王(あなばだったりゅうおう)

阿那婆達多龍王は、「清涼」という意味を持ち、ヒマラヤの北にある阿那婆達多池(無熱池)という伝説上の池に棲む龍神です。

阿那婆達多池から四方に大河を流して人間が暮らす大地を潤す力があり、豊穣を象徴する龍神様でもあります。

7.摩那斯龍王(まなしりゅうおう)

摩那斯龍王は、「大力」の意味を持つ、慈悲深さが特徴の龍神です。
仏教世界では、人々に信仰心を芽生えさせる役目を担っています。

摩那斯龍王には、阿修羅が須弥山に海水を押し寄せながら侵攻してきた際に、その身を踊らせて海水を押し戻し帝釈天を守護したという、大力の意味にふさわしいエピソードがあります。

8.優鉢羅龍王(うはつらりゅうおう)

優鉢羅龍王は、「青蓮華」という意味を持ち、青い蓮華が咲く美しい池に棲むとされる龍神です。

仏教において青蓮華は「美しい眼」に例えられ、仏教世界のすべての土地神は、優鉢羅竜王の監視のもとで雨を降らせると言われています。

 

龍神祝詞とは?

龍神祝詞という言葉を
良く聞くけれど、それってなに?

祝詞(のりと)とは、神道の祭祀で神様に対して唱える言葉のこと。

八大龍王は神道の神様ではありませんが、龍神を祀る神社では八大龍王が御祭神となっているところも多く、そうした神社では「龍神祝詞」という特殊な祝詞を唱えます。

龍神祝詞が特殊と言われる理由は、神社本庁が管理しておらず、正式な祝詞ではないから。

しかしながら、由緒ある神社で龍神祝詞が唱えられているという経緯から、重要な祝詞の1つとして『神道大祓全集』に記載されています。

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龍神祝詞の意味

龍神祝詞を現代語訳すると、下記のような意味になります。

全文を直訳すると理解が難しくなってしまいますので、要点に絞ってご紹介します。


高天原におられる龍神様は、天国にも地上にも姿を現され、この世界の創造主の遣いであらせられる神様です。
我々は、天上世界の十種の宝物に姿を変えて全世界を自由に治められる龍王神に、六根(五感+第六感)のすべてを用いてお仕え申し上げます。
我々の愚心を改め、あらゆる穢れや災難をお祓いくださいますよう、恐れ多くもお願い申し上げます。

上記の意味からもお分かりいただける通り、龍神祝詞の効果は、ネガティブな気持ちを浄化したり体に憑く邪気を祓い、心身ともに綺麗な状態で願掛けをすること。

 

八大龍王にご挨拶をする時は、龍神祝詞を覚えたり意味を理解した上で参拝すると、ご利益にいっそうあやかれるでしょう。

八大龍王/八大竜王のご利益

八大龍王は、恵みの雨を降らせて地上に豊かさをもたらすことから、主要なご利益は五穀豊穣です。

また実りをもたらす八大龍王の力は、転じて商売繁盛や社会的成功、必勝祈願などのご利益もあると考えられています。

ただし、龍神祝詞にも書かれているように、八大龍王はこの宇宙を治める創造神の遣いです。
そのため、特定のご利益があるというよりは、広く「願望成就の神様」としてお祀りしている神社が多いようです。

 

八大龍王に願掛けをする時は
「どんな願いを叶えたいか?」ではなく
「どれだけ本気で願いを叶えたいと思っているか?」
が大事なのかもしれません。

八大龍王/八大竜王の真言

八大龍王や仏教の諸龍の真言

オン メイギャ シャニエイ  ソワカ

八大龍王/八大竜王の有名な神社仏閣

仏教が伝来する前から信仰されていた龍神様は、その神社も全国各地にあります。
今回はそうした神社の中でも、八大龍王に縁があり、パワースポットとしても有名な神社を3社ご紹介します。

八大龍王水神(宮崎県西臼杵郡高千穂町)

八大龍王水神は、天孫降臨の地として知られる高千穂にある神社です。

一説には『古事記』が編纂された西暦700年代に建立されたとされていますが、正式な建立年が分からないほど古くから人々に信仰されてきた、歴史ある神社でもあります。

八大龍王水神の見どころは、境内の入口近くにそびえる、樹齢約500年の巨大な御神木です。
その姿は、まるで龍の髭のようにも口を大きく開けた龍神様そのものにも見え、威厳を感じさせます。

八大龍王水神は、特に「勝負事」のパワースポットとして知られています。
成し遂げたい目標や夢がある方は、八大龍王水神に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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神龍八大龍王神社(熊本県菊池市)

神龍八大龍王神社は、熊本県菊池市にある、金運アップのご利益で有名な神社です。

1575年に建立されたこの神社には、境内に流れる川に「雄龍」と「雌龍」の2体の龍が棲んでいると言い伝えられています。

神龍八大龍王神社には常駐している神主がおらず、都心から離れた場所にあることからひと気も少なく、自然の魅力を存分に堪能できるヒーリングスポットでもあります。

境内に一歩足を踏み入れれば、本当に龍神様がそこにいらっしゃるような、荘厳で神秘的な雰囲気を肌で感じ取ることができるでしょう。

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都久夫須麻神社(滋賀県長浜市)

都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ)は、先ほど紹介した龍神祝詞を社に掲げる神社です。

琵琶湖に面した「竜神拝所」は、八大龍王が鎮座する場所とされる、竹生島で一番の絶景スポットです。
ここにある宮崎鳥居に向かって素焼きの土器を投げ、鳥居を見事にくぐれば願い事が叶うとも言われています。

都久夫須麻神社を訪れる際は、龍神祝詞を覚えてから参拝すると、八大龍王のご利益をより実感できることでしょう。

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八大龍王はその他の寺院仏閣でなどでも
沢山祀られていますので
出会った時には是非お参りしてくださいね!

まとめ

八大龍王に馴染みがなかった方も、「龍神様」と聞くと親しみを感じられた方も多いのではないでしょうか。

龍神様に愛されている人は、雨女・雨男になると言われています。
もし今後雨に降られた時は、龍神祝詞を唱えたり龍神のご利益を信じながら願掛けをしてみると、八大龍王が運気を上げてくれるかもしれませんね。

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