龍神は古来より霊獣として人気があります。
龍は東洋では蛇のような長い胴体を持つ霊獣であり、霊力を持った守護神でした。
こんにちは・画家の奥田みきです。
私も「龍の絵」を好んで描いていますが、
みなさまは龍と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
ここでは東洋の龍神を中心に「龍神」について解説してみました。
(記事内の龍絵は一部を除き奥田みき作。写真も私が撮り貯めたものです)
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龍神様 とは?
リンク:龍神画は画家・奥田みきの絵画通販ショップでもご覧いただけます。
~甘露の雨を降らす水の神・龍神様~
東洋~中国や日本において、龍神は霊力を持った守護神として祀られて来ました。
龍の外見は蛇の様に長い胴体をしていますが、蛇とは違い手足が付いていて、頭には長い角が生えています。
霊力で空を自在に飛び回り、特に水神として信仰されて来ました。
中国から伝来した龍神
中国では龍神は皇帝のシンボルとしても重要視されており、天子と龍神を結び付けることで、皇帝の権力を神聖化していました。
そのため、5本爪の龍神は皇帝のみが使用することを許されていました。
龍は日本には弥生時代には既に伝わっていたとされていますが、中国での龍神の在り方をそのまま取り入れた訳ではなく、日本では天皇と龍神が結びつけられることはありませんでした。
龍神の存在が脚光を浴びたのは平安時代になってからです。
その理由は仏教との結びつきが大きく、「法華経」や「密教」が浸透し、請雨修法と呼ばれる雨乞いの儀式を龍神が司ることになったためです。
【龍の意味】「竜」と「龍」の違い
~龍と竜~
龍と言う文字を辞書で引くと「龍」と「竜」の文字が出て来ますよね。二つのその違いはなんでしょうか?
龍も竜も英語で表すと「ドラゴン」になります。
色々な説がありますが、「漢字」の歴史的視点から見ると、二つの文字が表す姿に違いはなく、共に「りゅう」を表します。
「竜」が新字体、「龍」が旧字体なのですが、古い漢字の甲骨文字などを見ると、
「竜」の字の方が本来の形に近いと言われています。
これはどちらが正しいと言うことはなく、兄弟の関係に当たるそうです。
ただ、現在では下記の様に使い分けるケースも良く見られます。
私自身も下記の解釈で使うことが多いですので、今では定番となっている説だと思います。
竜=西洋風の「ドラゴン」恐竜のように二本足で立ち、大きな翼を持つ生物
龍=東洋のイメージ。長い胴体をしてる、霊力で空を飛ぶ霊獣。水墨画などで見かける姿
【龍の種類】青龍と四神思想
~四神思想に登場する青い龍~
一言で「龍の種類」と言っても、様々な分類の仕方があります。
古典的な解釈から、現在ではスピリチュアル的な「新時代の龍」も登場しているため、一概に「分類」をするのが難しいのですが、このページでは下記のように龍の種類を分類してみました。
- 四神思想
- 五行思想と五神龍
- 龍絵による違い
四神信仰の青龍
龍は中国の前漢時代の四神思想には既に登場していたといわれます。
四神思想とは天の四方を聖獣が守護していると言う考えで、下記のような配置になります。
青龍が東
朱雀が南
白虎が西
玄武が北
上記の四神思想を図に表すと下記の様になります。
四神信仰に従って、四方に四神を祀ることで、陰陽のバランスが整い、気の循環が良く、活気があり反映する空間になるとされています
この四神思想は古くから日本にも伝わってきており、奈良~平安時代に都を開く時や寺社などを開く時には必ずこの四神思想に従ったと言われています。
平城京や平安京などは四神相応の都とされています。
この四神信仰の中でも龍だけが架空の生物だと言うことにお気づきでしょうか?
同じように、実は干支の十二支の中でも龍だけが架空の生物なのです。
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八坂神社と龍穴・龍脈
~四神思想の都~
京都が四神思想に基づいて作られたことは有名です。
下記の神社がその「四神」にあたります。そして中央に平安神宮が配置されているのです。
の玄武・上賀茂神社、
西の白虎・松尾大社、
東の蒼龍・八坂神社、
南の朱雀・城南宮、
京都の町を思い浮かべてみると、確かに四つ神に守られている配置になっていますよね。
八坂神社
八坂神社は京都では有名なパワースポットでもあります。
八坂神社の本殿の下には実は「龍穴」があるとされていて、本殿は、この龍穴の上に建造されたと言われています。
龍穴
龍穴の名前が出てきたので、龍穴について少しご説明します。
龍穴(りゅうけつ)は陰陽道や風水において、繁栄されると言われている土地のことを言います。龍脈と呼ばれる、地球を取り巻く運気の流れがありますが、その流れが行き着き、吹き出す場所が「龍穴」なのです。
字並びは似ていますが龍神と龍脈は違う物です。
日本三大龍穴と言われているのは下記の3つです。
室生龍穴神社~ 弘法大師と縁があるとされる龍穴
貴船神社奥宮~清流の流れる貴船神社の奥の院~
備前の龍穴 (瀬戸内市・岡山)~謎とされている龍穴~
【龍の種類と役割、色】五行思想と五龍神
~五色の龍神~
次は五行思想の龍です。古代中国から始まった自然哲学の思想に五行思想があります。
これは万物は5つの要素(火・水・木・金・土)からなるとされている説でこの5つが万物を構成しているという思想です。
五行の思想自体は少し複雑なので、ここでは有名な「五龍神」を祀っている田無神社の例をご紹介します。
田無神社
五行思想に基づいて五龍神をお祀りした神社が東京:田無にあります。龍が好きな人達にとって、人気のスポットになっています。
田無神社では五色の龍を下記の様に配置し、お祀りしています。境内は下記の様に配置されています。
中心: 金龍神、
東方:青龍神、
南方:赤龍神、
西方:白龍神、
北方:黒龍神
田無神社におけるそれぞれの龍の解釈を元に下記に五龍神の役割やご利益を記載しました。
宇宙につながる小さな扉が田無の地にありました。さあ、五龍神のすまう田無の杜へ。…
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色による役割とご利益
金龍の役割とご利益
金龍は、土用を象徴する中央に配置されていています。
大地と豊穣の守り神でもあり、大地に植物が根ざすように強い底力を構築し、導いてくださる龍神様です。
ご利益:家庭の運気上昇、コミュニティを守護する
青龍の役割とご利益
青龍は、春を象徴する東方を守護します。樹木や風などの自然を司ります。
春に新芽が芽吹くように成長を見守り、発展させてくださる龍神様です
ご利益:芸能や芸事、就業成就
赤龍の役割とご利益
夏を象徴する南方を守護するのが赤龍です。
夏の強い日差しのように、人の心に活力をみなぎらせ上昇する気持ち与え、導いてくださいます。
ご利益:先見の明を与える、勝負事、努力が実る
白龍の役割とご利益
秋を象徴する西方を守護するのが白龍です。
金属を司ることから、鉱山から宝が掘り出される様に豊かさを私たちに与えてくださいます。
ご利益:金運、結婚運、飲食に関連したこと
黒龍の役割とご利益
冬を象徴する北方を守護するのは黒龍です。
水が流れる様にあなたの周りに新鮮な空気を循環させ、人間関係も円滑に回してくださいます。
ご利益:生活空間の水回り、健康運、夫婦円満、交流関係
龍神の種類~龍絵による分類~
~絵画の中の龍~
龍の絵は水墨画や日本画としても古くから描かれて来ました。
下記では絵画の中で「○○龍」と名付けられたものを記載してみました。
昇龍- 縁起の良い龍として良く描かれます。
降龍
雲龍 -龍は雲を起こすと言われています。
飛龍-霊力で飛ぶことが出来る龍は自在に空を飛び回ります
水龍-水神である龍は雨や水と良く一緒に描かれます。
雨龍
雷龍-雲を起こす龍は時には雷も連れてきます。
龍と虎図 -縁起物として虎と対峙した龍も描かれます。
龍頭観音菩薩-龍の頭に白衣観音菩薩がお乗りになっています。
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龍の姿 ~龍の九似~
~龍は九の動物に似ている~
龍というとだれもが同じような容姿を思い浮かべることでしょう。
現在定着している龍の造形は、中国の李時珍著「本草網目・52巻」に書かれている「龍の九似」に沿って描かれています。
龍の九似とは、龍は九の動物の優れた部分が融合した姿として考案されたもので
下記の様になっています
龍のその他の特徴
「龍の九似」以外にも龍の容姿には、下記の様な特徴が挙げられています。
- 口は諸説ありますが、鰐(わに)の様な口です
- 飛龍の翼は コウモリの形です。
- 手には 太陽・月の象徴である宝珠を持っています。
- 背中には81枚の鱗があります。
- 喉の下に「逆鱗」と呼ばれる逆向きの鱗があります。
- 尾については諸説あります。
- 手と足に炎をまとって描かれることが多い。
このような記述があるため、龍の姿は現在みなさんが
ご存じの様な姿で描かれるのです。
頭のこぶは飛ぶための器官?
頭には博山と呼ばれる山上の起伏があり
これがないと飛べないとされています。
応龍(鳥の翼)や飛龍(コウモリのような翼)を持っている龍も稀にいますが、
殆どの龍が翼を持たないのに飛べるのはこの博山ゆえだそうです。
こんにちは、画家の奥田みきです。 龍の顔と言えば、古典的でちょっとユーモラスに溢れる顔を 思い浮かべるかと思いますが、 昨今では、ゲーム系のかっこいい顔から癒やし系の顔まで まで色々な龍の書き方が[…]
龍の爪の数
~日本の龍は3本爪~
中国では5爪の龍の意匠は皇帝にのみ許されていました。
4爪も天子一族だけのものです。
日本では古来より3爪の龍が主流でしたが
昨今では作家の個性によって、3~5爪の間で自由に描かれています。
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日本の龍
~中国から伝わり、蛇神信仰と融合する~
日本の龍の歴史は、縄文土器に彫られた流線型の蛇の模様から始まっていると言われます。
その後、弥生時代~古墳時代に中国から持ち込まれた四神思想の胴鏡に龍が描かれていることから、この時代には中国の龍の形が認識されていたと思われます。
さて、「日本の龍は中国から伝わってきたもの」と書きましたが、日本の龍は中国からそのまま輸入されただけではありません。
日本には元々龍が伝わって来る前から蛇神信仰があり、それが外来の龍と融合して行ったのです。
蛇は古来より日本では水の神や山の神、生殖の神として信仰の対象になっていました。
蛇に関する祭事は主に女性が行っていたために、蛇と女性にまつわる神話が各地にあります。
その代表的なものが「三輪山の神」の話でしょう。
下記からは現在の龍神に繋がっていった、古事記などの神話の世界から見える蛇神について記載してみます。
【蛇と龍の関係】龍神伝説1・三輪山の神
~とぐろを巻いた蛇を連想される三輪山は、蛇信仰の対象になる~
奈良の三輪山は古くからの神域でした。
この山には「大物主(オオモノヌシ)」と呼ばれる神が住んでおり
この神は蛇身であると言われていました。
この大物主に嫁いだ皇女「倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)」は
夜明けになると姿を消してしまう、顔を見たことのない夫に
「朝まで留まってほしい」
とお願いをします。
大物主は妻に懇願され
「ではあなたの櫛箱の中に入っている。私の姿を見ても驚かないで欲しい」
と頼み、承諾します。
朝になり、倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)が櫛箱をそっと開けてみると
中には美しい蛇が入っていました。
驚いたヒメがその姿をみて驚きの声を上げてしまうと、大物主は恥じて、人の姿に戻りました。
そして
「あなたは私に恥をかかせた、あなたにも同じような目に合わせよう!」
と言い残し、三輪山に帰ってしまいました。
ヒメは驚いてその場に座り込み、その拍子に陰部を箸で付いて死んでしまったのです。
三輪山の「三輪神社」は多くの参拝客が訪れる人気の神社です。
写真の狭井神社 (さいじんじゃ)は、三輪の神様の荒魂(あらみたま)を祀る神社であり、力強い御神威があるとされています
奈良県桜井市、大和国一之宮 三輪明神 大神神社(おおみわじんじゃ)は、本殿は設けずに三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原…
龍神伝説2・八岐大蛇(やまたのおろち)
~多頭の大蛇~
次にお届けするのが、有名な「古事記」や「日本書紀」に登場する
「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」です。
イザナギの三貴子の一人である、須佐之男命(スサノオノミコト)は暴れ者で、ついには悪事がたたり、高天が原(たかあまはら)を追放されます。
須佐之男命(スサノオノミコト)が放浪の末に辿り着いたのは、出雲の肥の河の上流にある鳥髪という場所でした。
須佐之男命(スサノオノミコト)はそこで嘆いている老夫婦と出会います。
「娘が大蛇に人身御供にされようとしているのです。
その大蛇は八の頭と尾を持ち、八つの山に跨るほどの巨大は蛇なのです」
娘の名を櫛名田比売(クシナダヒメ)と言いました。
大蛇の話を聞いても須佐之男命(スサノオノミコト)はひるむことなく次にように話しました。
「そなた達の娘を私の嫁にくれるのならば、私がその大蛇を倒してみせよう」
須佐之男命(スサノオノミコト)の申し出に、老夫婦は藁にもすがる思いでその申し出を承諾します。
大蛇は噂通り巨大な姿をしていましたが、須佐之男命(スサノオノミコト)は大蛇に強い酒を飲ませ酔わせた上で、これを討ち取ったのです。
そして約束通り櫛名田比売(クシナダヒメ)を妻に迎えました。
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)のような多頭の蛇の話は西洋では多いのですが、日本ではあまり見かけることがありません。
八岐大蛇は、制御されない水の威力を司る、出雲土着の水の神であったと考えられます。
他にも「常陸国風土記」に登場する、角のある蛇夜刀神(やつのかみ)の伝説などがあり、蛇神は古くから日本でも祀られてきたのが分かります。
仏教と龍
~仏法を守る存在~
ここからは仏教と龍について解説致します。
前記にのように、日本では元々は「蛇神」だったものが仏教と結びつき、融合され、現在の「龍神」の姿になりました。
特に平安以降仏教が盛んになると共に、蛇神から変化した龍神の存在が目立つようになります。
お寺の本堂や境内で、龍の装飾を見かけることがありますが、仏教においては龍そのものが経典の中で描かれていることはなく、むしろ脇役的な存在だと言うことです。
仏教では、龍は仏法(釈迦の教え)を守るという役割を担っています。
お釈迦様と龍の逸話
龍はお釈迦様が誕生された時に、甘露(かんろ)の雨を降らせたと言われており、また、悟りを得る前に瞑想された際には、お釈迦様をお護りしたと言う説話があります。
ちなみにインドでいう「龍」はナーガと呼ばれ、コブラを神格化したものです。
倶利伽羅龍王
倶利伽羅(くりから)はサンスクリット語のクリカから来ていると言われています
倶利伽羅剣(くりからけん)とは不動明王の持っている利剣に龍が絡みつき、剣を飲み干そうとしている姿で表されている利剣のことを言います。
不動明王の剣を倶利伽羅剣という理由
昔、不動明王が異教徒と論議をしたことがありました。
その時、相手が剣に姿を変え向かって来たために、不動明王は龍の姿=倶利伽羅龍王の姿になって相手を押さえつけその剣を飲み込もうとしたのです。
このことから不動明王の持っている利剣を倶利伽羅剣と呼ぶのです。
龍は武士の間でも好まれる
倶利伽羅龍王は不動明王の信仰と共に、武士の間で好まれ武器や武具に多く用いられました。
破邪の象徴として細密は倶利伽羅剣(くりからけん)の意匠が付けられる事もありましたが、剣などには簡略化した梵字の「カーン」のみが彫られることもあったそうです。
空海と善女龍王
龍は水を司る神であることから、雨乞いの儀式と結び付けられて来ました。
ここでは空海と善女龍王の話をご紹介いたします。
平安のはじめ、高野山の開祖である空海は、京都の二条城近くにある神泉苑で雨乞いの儀式を行います。しかし七日の間、祈祷を続けても雨が降ることことはありませんでした。
そこで空海は遠くインドから、善女龍王と呼ばれる龍王を勧請(かんじょう)しました。
その時現れた善女龍王は、長さ八寸ほどの紫金の龍で
九尺ばかりの蛇の頭に乗ってやって来たと言われています。善女龍王はその霊力で大雨を降らせ、三日の間、雨が降り続けました。
ちなみにこの時のことを絵巻に描いた物が残されていますが、ここで描かれている善女龍王は、「蛇の形」をした龍王です。
善女龍王はこの後神泉苑の法成就池に住み着き、平安時代には干ばつになると、この場所で雨乞いの儀式が行われるようになりました。
空海がこの雨乞いの祈祷の際に使用したと言われる倶利伽羅剣(くりからけん)が、高野山の龍光院に今でも残されています。
八大龍王
仏教において有名な龍と言えば「八大龍王」です。
天龍八部衆に属し「法華経」に登場する龍王です。仏法を守護するのが役目です。
難陀(なんだ) | 跋難陀(ばつなんだ)とは兄弟です。かつては娑伽羅と戦ったこともある、龍王の中で最も優れた王です。 |
跋難陀(ばつなんだ) | 難陀(なんだ)の弟です |
娑伽羅(しゃがら) | 竜宮城に住まうとされている海の龍王です。 |
和修吉(わしゅきつ) | 九の首を持つ。九頭龍王とも同一視されています。 |
徳叉迦(とくしゃか) | 目が合った物は息絶えるとされている、毒視の龍です。 |
阿那婆達多(あなばだった) | ヒマラヤのの北にある、阿那婆達多池に住んでいると言われています。 |
摩那斯(まなし) | 大刀の意味を持つ龍王です。 |
優鉢羅(うはつら) | 青蓮華の意味を持つ。青蓮華龍王とも呼ばれます。 |
八大龍王は龍の姿でも描かれる
八大龍王は通常人の形で描かれますが、龍に置き換えて描かれることもあります。
例えば、下記の准胝観音(じゅんていかんのん)の蓮華座を支えている龍王は難陀と跋難陀です。
古典的な仏画ではこの二人は人型で描かれているのですが、近年の仏像では龍神として制作されているものも珍しくありません。
私も近年の作例にならって、龍神系で描きました。
龍神と弁才天
龍神は弁才天とも良く一緒に描かれますがこれは経典にある姿ではなく、蛇が弁才天の眷属であることから龍と結び付けられました。
弁才天についてはこちららで詳しく解説しています。
弁才天とは美しい福徳の女神。仏教の天部に属する 【ブログ内の画像の転載・無断使用はご遠慮ください】 今日は人気の弁才天についての記事のお話しです。 弁才天は七福神の一人としても人気があり、主に天[…]
中国の龍
~中国では皇帝のシンボル~
日本の龍は中国の龍の影響を強く受けています
中国において龍は智慧や徳を備えた霊獣とされており、時に大雨や水害などを招くこともありましたが、大いなる恵ももたらす存在として歓迎されていました。
龍の発祥の起源まで遡ってみると、元々はある一部の民族の守護神だったようです。
その後、龍のその偉大な力故に、中国の皇帝の象徴へ起用され
皇帝は自らを、龍から生まれた神人であると名乗るようになりました。
このように中国では龍は皇帝のシンボルとして特別視されて来ました。
西洋の龍
最後に、西洋の龍について簡単に触れておきます。
西洋においては龍(ドラゴン)は神話の世界などでも悪しき存在として存在しました。
西洋の有名な龍をご紹介します。
ヒュドラ
ギリシャ神話の九つの頭を持った龍。
英雄ヘラクレスが倒した最も手強い怪物です。
「ベーオウルフ」のドラゴン
古英誌「ベーオウルフ」に登場する龍。
翼を持った火龍で現代のドラゴンのイメージに近い姿です。
聖書のドラゴン
「ヨハネ黙示録」に登場するドラゴン。
キリスト教を害する悪の象徴として登場します。
リヴァイアサン
旧約聖書に登場する巨大な海の怪物。
龍の描き方
実際に龍を描いて見たい方に向けて、「龍の書き方」をご説明しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
龍神の成り立ちや歴史などを調べていくと沢山の項目が必要な為、記事も長くなってしまいました。
今回は記事が長くなってしまったので、「龍に縁の神社」などは、独立記事で書いてみたいと思います。
龍のことが詳細に書かれている本もご紹介しています。