伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)|家系図・国生みについても解説

伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)|家系図・国生みについても解説

皆さま、こんにちは。

幻想画家の奥田みきです。

今回は、日本神話の始まりを担う有名な二柱、伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)について、

「どんな役割を担う神様なの?」
「実は仲が悪いってホント?」
「どんな子供(神様)を産んだの?」

といった基本的な情報や特徴について、分かりやすくご紹介していきます。

女神

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イザナギ様・イザナミ様は、日本神話では物語の始まりに登場し、天の高天原の神々に国作りを任された重要な夫婦神です。黄泉の国のエピソードが有名ですが、本当はとっても仲の良い二柱なんですよ。

伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)とは

伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)は、聖書でいえば創世記にあたる時期に登場する、日本神話の「最初の神々」に分類される二柱です。

日本神話において、最古かつ重要な数々のエピソードに登場する夫婦神であることから、全国各地の神社で祀られています。

別天神(コトアマツカミ)と神世七代(カミヨナナヨ)

イザナギ・イザナミが誕生する前、まずは天と地が2つに分かれ、天にある高天原に最初の神である次の三柱が出現しました。

●天之御中主神(アメノミナカヌシ)
●高御産巣日神(タカミムスヒ)
●神産巣日神(カムムスヒ)

しかし、この三柱はすぐに姿を消し、後に新たに二柱が現れるも消え去ってしまいます。

これら五柱は「別天神(コトアマツカミ)」と呼ばれ、日本の神様の中でも特別な存在として区別されています。

女神

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はじまりの五柱の神様は現れては消えてしまいます。

その後、新たに二柱の神様が生まれ姿を消すと、それまでの独り神とは違う「男女の性を持つ神(対偶神)」の五組十柱が続々と登場し、こちらの神々は姿を消すことはありませんでした。

この二柱の神様・五組十柱の神々は「神世七代(カミヨナナヨ)」と呼ばれ、その最後に登場したのがイザナギ・イザナミです。

女神

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こちらは最初の二柱以外は消えることありませんでした。

任されたのは「国生み」

はるか昔、日本という国ができる前のこと、神々が住まう高天原では下界に新しい国を作る相談をしていました。

神々は、イザナギ・イザナミの二柱に国作りを命じ、天の沼矛という矛を授けました。

イザナギ・イザナミは、まず天の浮橋という大きな橋に立って、水に浮いた油のように混沌とした下界を眺めます。

次に、天の沼矛を海中にさし降ろし、海水を力いっぱいかき回します。

しばらくして矛を引き上げると、矛の先から滴り落ちる潮が積み重なり、於能凝呂島(おのごろじま)という島が出来上がります。

出来上がった島に二柱は降り立ち、天の御柱(あめのみはしら)という大きな柱を立て、イザナギは左回りに、イザナミは右回りに柱を廻りあい、お互いの魅力を褒め合いました。

これはいわゆる結婚の儀式ですが、最初は失敗してしまい、ヒルコという不具の神様が生まれてしまいます。

しかし、その後二柱はたくさんの島を造り、これが日本の国土の始まりとされます。

イザナギとイザナミは仲良しだったが……

イザナギとイザナミはとても仲良しの神様で、日本の国土が出来上がった後は、次は神様を産み始めます。

石や土・海・風・山といった森羅万象の神々を産んでいきますが、ここで問題が発生します。

火の神であるカグツチを産んだ際、イザナミはやけどを負って命を落とすのです。

これはイザナギにとって大変ショッキングな出来事で、生まれた子のカグツチの首を剣ではねてしまうほどでした。

ちなみに、その際に流れ出た血によって、石折神(イワサク)・根折神(ネサク)が生まれたとされます。

女神

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たとえ神であっても、大切な存在を失ってしまうと、自分を抑えられなくなってしまうことがあるのですね。

妻のイザナミを追って黄泉の国へ向かうイザナギ

妻を失った悲しさから、イザナギは一つの決断をします。

それは、死者の国である「黄泉の国」へと向かい、イザナミを連れ戻すことです。

しかし、イザナミはすでに黄泉の国で食事をとってしまったため、イザナギがいる国に帰ることはできませんでした。

イザナギが自分を迎えに来てくれたことを知ったイザナミは、イザナギに「黄泉の国の神様のもとへ相談にいくから、絶対に自分の姿を見ないように」と言い残して相談に行きます。

イザナギは待ち続けましたが、いっこうに返事がなく、とうとう髪にさしていた櫛をとって火をともし、周囲を見渡します。

すると、そこには見るも恐ろしい、変わり果てた姿のイザナミがいました。

イザナギは恐ろしさに勝てず逃げ出し、自分の姿を見られ約束を破られたイザナミは怒り、イザナギの後を追いかけました。

黄泉比良坂(よもつひらさか)と生死の始まり

逃げて逃げて、ようやくイザナギがたどり着いた場所は、黄泉の国との境目にある「黄泉比良坂(よもつひらさか)」でした。

イザナギは、黄泉比良坂に生えている桃の木から桃をとり、黄泉の国から追ってきた軍勢に投げつけます。

桃には魔除けの効果があったことから、みな散り散りに逃げ出してしまい、これを機にイザナギは黄泉の国へと続く洞窟の入り口を大きな岩でふさぎました。

すると、岩の向こうにいるイザナミが「あなたの国の人を毎日千人ずつ殺しましょう」と言います。

これに対してイザナギは「それなら私はこの国に毎日千五百人の人が生まれるようにしよう」と言います。

そして、神話において人間の生死が確定しますが、このエピソードはいうなれば日本史における初の「離婚」にまつわるエピソードとも捉えられます。

二柱の仲裁役となった菊理姫(ククリヒメ)

ところで、このエピソードには別の注釈があることをご存じでしょうか?

古事記では、残念ながらイザナギとイザナミは仲違いしてしまいましたが、日本書紀の注釈・外伝的な役割を担う『一書(いっしょ)』という書物には、今なお謎が多いとされる「菊理姫(ククリヒメ)」が二柱のケンカを仲裁したと記されています。

ククリヒメについて詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事もお読みください。

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三貴子の誕生

黄泉の国から戻ったイザナギは、自分の穢れた体を水で清めました。

洗い清める中で新しい神々が次々と生まれましたが、顔を洗ったとき、日本史において重要な神様である「三貴子」が生まれました。

  • 天照大神(アマテラスオオミカミ)
  • 月読命(ツクヨミノミコト)
  • 素戔嗚尊(スサノオノミコト)

イザナギは、アマテラスオオミカミに高天原の統治を、ツクヨミノミコトに夜の統治を、スサノオノミコトに海原の統治を任せています。

ここまでが、神話に登場するイザナギの主なエピソードとなります。

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ここまでの流れのまとめ

ここまでの流れを簡潔にまとめると下記のようになります。

1・別天神(コトアマツカミ)最初に生まれた5柱の神々。彼らはすぐに姿を消す。
2・神世七代(カミヨナナヨ)最初の2柱は消えるが、その後生まれた5組の男女の神々は消えずに残る。この世代の最後に生まれたのがイザナギとイザナミ。
3・イザナギ・イザナミ彼らが日本の国を創造。その後、多くの神々を生み出すが、火の神カグツチを産んだ際にイザナミは重傷を負い死亡する。
4・黄泉の国イザナミの死後、イザナギは黄泉の国で彼女と決別。イザナギが黄泉の国の穢れを清めた際、三貴子(アマテラス、ツクヨミ、スサノオ)が誕生する

イザナギ・イザナミと水蛭子(ヒルコ)

イザナギ・イザナミは、先述した通り結婚の儀式に失敗し、第一子として水蛭子(ヒルコ)を産んでいます。

本来であれば、日本の創世記において重要な神の一柱になるはずですが、3歳になっても立てず、不具の子として海に流されたといわれており、その後は神話に登場することがありません。

ヒルコが生まれた理由としては、結婚の儀式の際に「イザナミから先に声をかけたのが問題だった」とされます。

この点について高天原の神々から指摘を受け、再度儀式をやり直したところ、イザナギ・イザナミは神々を産めるようになりました。

女神

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現代の倫理観で考えると、イザナギ・イザナミはとんでもない毒親に思えるかもしれませんが、それだけ「穢れ」を恐れる意識が日本人には根強かったものと推察されます。

ヒルコのその後と同一視されている神々

かわいそうなことに海に流されたヒルコですが、実はヒルコにまつわる伝説も存在しており、兵庫県など各地にヒルコを祀る神社が存在しています。

それゆえ、ヒルコのその後については諸説ありますが、特に有名なのが福男選びで有名な兵庫県の西宮神社に伝わる伝説とされます。

伝説によると、兵庫県の鳴尾浜に住んでいたある漁師が網に手ごたえを感じて引き上げると、御神像(ヒルコ)を引き上げたそうです。

魚ではなかったので最初こそ海に戻したものの、再度同じものを引き上げたことから、漁師は「これは偶然ではない」と自宅で丁寧にお祀りするようになります。

その後、ヒルコは西宮へ遷され、西宮神社の御祭神「蛭児大神」となります。

ところで、ヒルコを漢字で書いた際の「蛭子」は「えびす」とも読め、えびすとは外部からの来訪者を指す言葉です。

西宮で大切に祀られたヒルコは、やがて七福神の一柱「えびす様」となって、海の神様・豊漁の神様として信仰されていきます。

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イザナギ・イザナミのスピリチュアル的な意味

イザナギ・イザナミは、日本神話で最も有名な夫婦神といっても過言ではないでしょう。

イザナミがカグツチを産んで黄泉の国に旅立ってしまった後のやり取りを除けば、総じて互いに協力し合い、国造りに勤しむ二柱といえます。

感性が鋭い方の中には、イザナギ・イザナミを祀る神社に足を運び、いわゆる「スピリチュアルメッセージ」を受け取っている方も数多くいらっしゃいます。

そのような方々は、イザナギ・イザナミが祀られている神社に足を運び、次のようなメッセージを受け取り発進されています。

  • 人々の幸せのため動くことの大切さ
  • 広い心をもって受け入れること
  • 愛する人の幸せを心から願うこと

女神

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夫婦神として、喜びも悲しみも乗り越えてきたからこそ、愛の大切さを訴えられるのかもしれませんね。

イザナギ・イザナミとご縁のある神社

日本神話において知名度の高い二柱だけあって、全国各地にイザナギ・イザナミをお祀りしている神社は数多く存在しています。

以下、主な神社をいくつかご紹介します。

自凝島神社(おのころじまじんじゃ)

自凝島神社は、兵庫県南あわじ市にある神社で、イザナギ・イザナミの国生みの聖地と伝えられる丘に立地します。

古くから「おのころ島」と親しまれており、大鳥居を潜るとすぐ脇に大きな松の木があります。

一般的な松葉は2つに分かれていますが、自凝島神社の松葉は3つに分かれている『三鈷(さんこ)の松』で、招福の松葉とされます。

なお、こちらの神社には夫婦を仲裁した神様・ククリヒメも合祀されています。

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伊弉諾神宮(いざなぎじんぐう)

伊弉諾神宮は、兵庫県淡路市にある神社で、国生みなどの大業を終えたイザナギが余生を過ごしたとされる神社です。

境内には、兵庫県指定天然記念物の「夫婦の大楠」があり、もともと2株の木が成長するにつれて合体し、1株に育ったという特殊な楠の木として知られています。

また、伊弉諾神宮を中心にして計算されたように、東西南北に縁ある神社が配置されているという興味深い特徴もあります。

この点に関しては、境内にある「陽の道しるべ」というモニュメントから、太陽の運行と有名神社の関係を読み解くことができます。

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多賀大社(たがたいしゃ)

多賀大社は、滋賀県犬上郡にある神社で、古くから「お多賀さん」の名で親しまれています。

古くから延命長寿・縁結び・厄除けの神様として信仰を集め、鎌倉時代~江戸時代にかけて武家・民衆にも信仰が広まった結果、全国239社に分祀されるに至りました。

滋賀県では有名なパワースポットの一つで、特に延命長寿の霊験あらたかとされます。

太閤秀吉の信仰も篤く、天正十六年には米一万石を事納し、母大政所の病気平癒を祈ったといわれています。

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イザナギ・イザナミのご利益

イザナギ・イザナミは、国や神様を新たに生む力を持つ神様であることから、参拝者の心身にエネルギーを与えてくれることが期待されます。

また、日本神話で有名な夫婦神であることから、夫婦円満や家内安全といったご利益を求めて参拝する方もたくさんいらっしゃいます。

具体的なご利益としては、次のようなものがあげられます。

  • 夫婦円満
  • 子孫繁栄
  • 延命長寿
  • 縁結び
  • 安産
  • 子宝
  • 家内安全

まとめ

伊邪那岐神(イザナギ)・伊邪那美神(イザナミ)は、日本の国や神々を生むという大業を任された夫婦神です。

仲睦まじく国造りを行っていましたが、アクシデントによりイザナミが黄泉の国へ行ってしまったことにより、夫婦は別々の道を往くことになりました。

その後は禊によって三貴子を生み、最初に生まれたヒルコもえびす様として信仰を集めています。

全国各地にイザナギ・イザナミをお祀りしている神社があるため、夫婦円満や安産などの願い事がある方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。