【水彩は紙が命!お勧め水彩紙はどれ?】失敗しない水彩紙の選び方

こんにちは・画家の奥田みきです。

タイトルの通り、今回は「水彩紙と紙」についてお送りします。

水彩は紙が命。

そういう言葉を良く聞きますね。

 

水彩紙と一言で言っても様々な紙があります。

「塗りやすい紙はどれ?」

「コストパフォーマンスの良い紙は?」

「初心者向けの紙は?」

など、色々な紙を実際に試した結果選んだ紙をご紹介します。

 

私が十代の頃は今のようにネットもない時代でしたので、どんな紙で水彩を塗って良いのか分からずに、町の文房具屋さんで売っているような、普通の画用紙で塗っていました。

とても塗りずらかったのを覚えています(笑)

その後キャンソン紙を知り、「普通に塗りやすいかな?」と思っていましたが、色々試してみたところ…。

 

(商品以外の写真は、一部を除き自作の絵と著作本の中から掲載しています。商品画像はAmazonにリンクしています)

透明水彩絵の具と紙の事

 

 

水彩絵の具で絵を描くときに、何よりも重要視したいのが「紙」です。

 

紙の選び方一つで、天と地ほど塗り心地が違うと言っても大げさではありません。

 

その紙の選び方についてご説明する前に、簡単に「紙とは何か?」をお送りしますね。

 

【透明水彩絵の具の選び方はこちらから】

 

【水彩画の筆】

 

紙の厚さ

 

紙にはそれぞれ「目」があります。

目というのは紙の表面にある凹凸で、拡大するとこんな感じになっています。

 

 

紙の表面はみんな違っていて、どれくらいでこぼこしているかで(極細目、中目、荒目、)などに分類されています

 

 

●荒目 (ラフ Rough)紙の表面の凹凸が大きいのが特徴です

繊細な描写よりは、水彩のウォッシュなどに向います。

線画やペン入れには向きません

●中目(コールドプレス Cold Press)水彩紙の中で1番よく使われるのが中目です。

中目はウォッシュにも精密画にも適応します。

●細目 (ホットプレス Hot Press)細密画やボタニカルアートなどに向きます。

私は色鉛筆の時に「細目」を使います。

 

メーカーにより呼び方が若干違うことがありますので、買うときにご注意下さいね!

特にアルシュは細目=中目です。

 

厚さの単位

 

1平方メールのグラム数で表示されています。グラムの数字が多いほど厚くなります。

用途に合わせて使用して下さいね。

 

▼薄め 185g位

▼厚め 300g位 が主に使う厚さです

 

425g~638g特厚もありますが、通常はあまり使用しません。

 

主な形状

 

水彩紙は様々な形状で売っています。選び方は色々ありますが、下記の様な点で選んでみると良いと思います。

 

  • どんなサイズの絵が描きたいのか→大きいサイズだったら「カット紙」
  • 水はどれくらい使うのか→水をたっぷり使う方は、カット紙で水張りかブロックタイプ
  • 外へ持ち歩きたいなら→ブロック、パット、スプリングなどです。

 

それでは実際の形状について、別途に見ていきますね!

 

 

▼カット

紙をカットしたものを一枚単位で購入するものです。

大きさはB2サイズの板に貼れるサイズ560×760がメインですが、ホルベインの出している水彩紙では、さらにそれを小さくカットした物もあります。(これについてはウォーターフォードの項目で詳しく記載しています)

 

 

 

四方をのり張りされて、数枚が束になっています。固いブロック状になっているので板張りなどしなくても紙がそりません。
通常の量で水を使う感じでしたら大丈夫ですが、私は水を多く使うためこのブロックタイプは余り使用しません。
ロールタイプはB2以上の大きな絵を描く時に使います。駅貼りポスターくらい大きいのサイズの水彩が描きたい場合は使用します

 

 

 

▼パッドタイプ

上部がのり張りされていて、簡単に切り離せますので使いやすいです。

 

▼スプリング

いわゆるスケッチブックタイプです。台紙も丈夫なために、屋外のスケッチなどにはこのタイプを持って行きます。

 

おすすめ水彩紙、TOP5発表の前に…

 

 

一言で「水彩」と言っても表現は様々です。

そのため紙を選ぶ時に、「自分が描く絵」を考慮して紙の丈夫さなどを選択する必要があります。

次に考慮するポイントを記載しますね

 

  • 水を沢山使う技法なのか? → 透明水彩絵の具をぼかすときに「少し」水を使う位なのか、画面全体を何度も塗らす描き方なのか?
  • 何度も塗り込む塗り方なのか、1~2度塗る位なのか?
  • 表面をスポンジなどでこすったりする技法なのか、普通に塗るだけなのか?
  • マスキングは使うのか? などです。

 

さてそれでは下記から「おすすめの水彩紙」ランキングに移ります!

 

 

【5位】水彩におすすめの紙~ホワイトワトソン~

 

 

名前色の伸びマスケットインク
ホワイトワトソンホワイト

ナチュラルホワイト

価格キメの種類厚さラインアップ
安め中目 

300g

 

ブロックタイプ

パットタイプ

リングタイプ

バラ

 

中目の高級水彩紙です。

通常のワトソン紙はナチュラル(多少黄が掛っている)なのですが、こちらは純白の紙です。

価格も水彩紙の中では安めですので、色々な用途で使用出来ます。

何度も塗り重ねたり、水を多く使わない使い方でしたらおすすめです。(私はスケッチや練習の時に使います)

【4位】水彩におすすめの紙 ヴィファール水彩紙

 

 

名前色の伸びマスケットインク
ヴィファール水彩紙ホワイト

 

価格キメの種類厚さラインアップ
安め中目190g

239g

300g

 

ブロックタイプ

パットタイプ

リングタイプ

 

 

ナチュラルな表面で一般的な水彩画が描きやすいように作られています。発色も良く細部まで描き込むことが出来ます。

ヴィファールは水彩に限らず、色鉛筆やパステルなどにも対応出来る様に作られている紙ですので、一冊持っていて損はありません。

ホワイトワトソンと同様に、何度も塗り重ねたり、水を多く使わない使い方でしたらおすすめです。

 

【3位】水彩におすすめの紙・ファブリアーノ水彩紙

 

 

名前色の伸びマスケットインク
ファブリアーノ水彩紙ホワイト

 

価格キメの種類厚さラインアップ
極細目

細目

荒目

極荒目

 

 

300g

 

ブロックタイプ

バラ

 

 

ファブリアーノ水彩紙は750年の歴史を誇るイタリア製の高級水彩紙です。

「エキストラホワイト」はコットン100%の純白の表面なので色沈みの美しい発色に仕上ります。

同じファブリアーノ社の「クラシコファブリアーノ」はオフホワイトになります。こちらも使いやすい紙です。

ファブリアーノ社の紙は他の水彩紙にはない独自の凹凸を持っており、特に繊細な描写に向いています。

細目が日本での中目に当たります。紙の強度や発色もよく、初めての方にも扱い易い紙です。

 

【2位】水彩におすすめの紙ウォーターフォードの中目

 

 

名前色の伸びマスケットインク
ウォーターフォード水彩紙ホワイト

ナチュラルホワイト

価格キメの種類厚さラインアップ
荒目

中目

細目

 

180g

 

300g

 

ブロックタイプ

バラ

リングタイプ

 

 

第二位はウォーターフォードの中目です!

英国を代表する水彩紙の一つで、長年英国で愛され続けて来ました。

コットン100%の原料を使い、丈夫でとても塗りやすく、絵の具によるぼかしも綺麗出来ます。

日本ではホルベインが発売しています。価格もそれほど高くはありませんし、コストパフォーマンスにも優れていて、私の愛用紙の一つです。

 

ウォーターフォードはカット版で購入がおすすめ

 

ウォーターフォードはブロックタイプが主流ですが、私はばら売りを使用しています。

扱っているお店はあまり多くありませんが、世界堂や額縁画材ドットコム他の画材などの通販サイトで購入出来ます。

私はブロックよりもこちらを好んで買います。

 

サイズは下記の二通があります。

●中判1/8パック(4枚入280×180mm(4枚入)

●中判1/4パック 380×280mm(2枚入)

水彩の場合おすすめは300gがおすすめです

 

●色はホワイトとナチュラル。ナチュラルの方はやや黄ばみがありますので、ホワイトの方をおすすめします。

 

こんな形状で売っています。

ウォーターフォードホワイト水彩紙300g【細目】中判1/8パック(4枚入)

 

 

 

二位まで発表しましたが、と言うことは一位はやはりあの……?!

【1位】水彩におすすめの紙~アルシュの細目!!

 

 

 

名前色の伸びマスケットインク
アルシュ水彩紙ホワイト

 

価格キメの種類厚さラインアップ
高め荒目

細目

極細目

185g

300g

640g

 

ブロックタイプ

バラ

リングタイプ

 

 

塗りやすさNO1、一度使ったら手放せません!

 

アルシュはフランス産の高級水彩紙として、1492年の創業から水彩紙を発売しています。長い歴史の中で名だたる画家にも愛されて来ました。

コットン100%の優れた耐久性と吸水性を持ちます。

色々な紙で塗り分けて見ると、アルシュはやはり塗りやすさと丈夫さでもNO1です。

 

私は学生の頃からのアルシュファンで、長きに渡りアルシュを愛用して来た。

貧乏学生にとっては高級な紙でしたが、そんな私でもアルシュだけは手放せなかったですね。

 

水を引いた紙の上を流れるように絵の具が広がって行く様は、他の水彩紙では味わえません。

 

透明水彩絵の具でお金をかけるべきものは何?

 

私は透明水彩絵の具の道具を選ぶ時、下記の優先順位で考えます。

それは

水彩紙→筆→絵の具です。

 

透明水彩絵の具の選び方でも説明していますが、絵の具はホルベインで十分綺麗に描けます。でも紙はアルシュとワトソンではまるっきり違います。

確かにアルシュは安くはないのですが、その価値が十分にある紙だと断言できます!

 

 

次の項目で、そんなアルシュを安く入手する方法を記載します。

 

アルシュを安く買う方法

 

アルシュの価格は現在、一枚 560×760㎜がのサイズで1500円位します。

(このサイズはB4サイズの水張り用の紙が4枚取れる計算です。ウォーターフォードに比べると倍近い価格です)

 

けっして安くはないアルシュですが、「5枚入りパック」があります。

560×760㎜サイズが5枚入っていて、通常一枚分以上お得になるのです!

私はいつもこれを買っています。

世界堂の店舗や(世界堂の通販ではありませんでした)額縁画材ドットコムでは扱っていました。

 

▼アルシュ水彩紙 細目 300g 560×760mm 5枚組(額縁画材ドットコムにリンクしています)

 

 

間違いのない紙選び・はじめて紙を買う方はこれ

 

これから水彩をはじめたいと言う方は

「ウォーターフォード300g 中目・ホワイト」ならまず間違いがありません!

価格、塗りやすさ共におすすめできる紙です。

 

▼アルシュとウォーターフォードの違いを少しまとめてみます

  • ウォッシュで滲みやグラデーションを塗るとき、アルシュの方がやはりのびが良い
  • 塗り重ねて行くと、ウォーターフォードは時々「しみ」のようなものが出来る事があるが、アルシュはない
  • アルシュはともかく丈夫なので、何をしても破れない(常識の範囲で、です(笑)

 

 

私が普段購入している形状

 

色々ご紹介しましたが、最後に私が普段購入している形状を記載しておきますので、ご参考になさってくださいね。

 

  • アルシュ・中目の「カットタイプ」で購入します。大きさは560×760。用途に合わせてカットをして使います。
  • B4サイズ以内の作品やパステルとの併用の時に、はウォーターフォードを使用。これは前記の小さくカットしたパック入りのものです。
  • スケッチやクロッキー会の時には「スプリングタイプ」を使います。屋外スケッチの時には台紙の厚いものが使いやすいです。

まとめ

 

いかがでしたか?

水彩はともかく紙が大事です。

初心者は「中目」の300gがおすすめですが、慣れてきたら色々な紙を試して見て下さい。

意外な紙があなたの作品にぴったり、と言うこともありますよ。

 

使いやすい紙を入手して、是非素敵な水彩画を描いて下さいね!

 

 

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