テンペラ画とは?—古典技法の魅力を解説

テンペラ作品、マリア様と観音菩薩の比較図
目次

はじめに

最近「テンペラ画って何ですか?」というご質問をいただくことが増えてきました。
実は私自身も本格的に学ぶまでは、「中世の宗教画に使われていた技法」「卵メディウムで描く」程度の、漠然とした理解しかありませんでした。

けれども、10代の頃に西洋の宗教画に強く惹かれていた私は、今になってその原点に立ち返るようにテンペラ技法を学び始めました。

教室に通い始めた当初は、画材も手順もまったく分からず、「これって一体どう描くの?」という状態からのスタートでした。ですが、一つひとつ工程を学ぶうちに、その奥深さと美しさにどんどん魅了されていったのです。

今回は、そんなテンペラ画の世界を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

テンペラとはどんな技法?

(上記の画像は私が初めて描いたテンペラ作品です。アンジェリコの模写です)

テンペラは、中世〜ルネサンス期にかけてヨーロッパで主流だった古典絵画技法です。
油絵やアクリル絵具が普及する前の時代、特に14~15世紀のイタリアでは、聖母子像や天使、聖人などを描く“聖なる技法”として広く使われていました。

代表的なテンペラ画家には、ボッティチェリや修道士フラ・アンジェリコが挙げられます。
フラ・アンジェリコの作品に見られる、繊細で神秘的な輝きはまさにテンペラならではの表現です。

修道士フラ・アンジェリコとは?

フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)は、15世紀のイタリアで活躍したドミニコ会の修道士であり画家です。深い信仰心をもって宗教画を描き、「祈るように描いた画家」とも呼ばれました。代表作には、サン・マルコ修道院のフレスコ画や《受胎告知》《最後の審判》などがあり、繊細な色彩と敬虔な表現が高く評価されています。

テンペラ画の材料と道具

テンペラは「板絵」とも呼ばれるように、まず木の板に石膏下地を施すところから始まります。
この下地作りが非常に重要で、膠(にかわ)と石膏を正確な分量で混ぜて塗り重ね、研磨することで、なめらかで美しい表面が出来上がります。

実際、私も最初は目分量でやって何度も失敗しました。
今ではきちんと測って作るようにしています。仕上がりに大きな差が出る工程です。

金箔を使った表現

私がテンペラを学び始めた最大の理由は、金箔を使った宗教画の表現に惹かれたことです。

テンペラでは、金箔を貼り、メノウ棒で磨き上げるという独特な技法があります。
この磨くタイミングが非常に難しく、慣れるまでは失敗の連続でした。
また、金箔の上から刻印を施す場合も、しっかりと作られた下地があってこそ美しく仕上がります。

実際、私も最初は目分量でやって何度も失敗しました。
今ではきちんと測って作るようにしています。仕上がりに大きな差が出る工程です。

テンペラ絵具の特徴とは?

テンペラ絵具は、「エッグテンペラ」とも呼ばれ、顔料を卵黄で溶いて作るのが特徴です。
卵黄のタンパク質が天然の接着剤となり、速乾性が高く、非常に耐久性にも優れているのが特長です。

600年以上も前に描かれたテンペラ画が、今でも鮮やかな色彩を保っているのは、その耐久力の証でもあります。

テンペラはぼかしに向かない

テンペラ絵具は、繊細な描写が出来る一方で油彩やアクリルとは違い、ぼかしやグラデーションに向きません
その代わりに、細かい線を重ねる「ハッチング」技法で描き進めていきます。

ぼかしが難しいことから、油絵との混合技法で描く方も多いです。

普段ぼかしを多用していた私にとっては最初は難しかったのですが、今ではこの繊細な描写がテンペラの魅力だと感じています。

テンペラ画は独学できる?

結論から言うと、テンペラ画を完全に独学で学ぶのは難しいです。
なぜなら、材料の扱い方や手順が他の絵画技法と大きく異なり、特殊な知識と技術が必要だからです。

私自身、よい先生と出会えたことで、一歩ずつ理解を深めることができました。
「古典技法」と聞くと難しそうに思えるかもしれませんが、実際には非常に創造性豊かで、深く長く探求できる表現方法だと感じています。

神仏画との相性

私は10代の頃から、西洋のイコンや仏教美術に深く惹かれてきました。
もともと「神仏画×金箔」の表現を学びたくてテンペラ技法を始めたのですが、実際に学んでいく中で、テンペラと仏画との親和性の高さに驚かされました。

私の作品では日本の神仏を題材に描くことが多いのですが、日本画のようなフラットな塗りではなく、テンペラならではの立体感と光の表現が、私の描きたい神仏の世界観にぴったりと重なったのです。

黄金テンペラで描いた神仏画の世界は下記に掲載しています。

✨まとめ

テンペラ画は決して簡単な技法ではありませんが、一つひとつの工程に込める想いが作品に深みを与えてくれます
私自身もまだまだ探求の途中ですが、今後も作品制作の過程や学びをこのブログでお伝えしていきたいと思っています。

🔍 この記事はこんな方におすすめ

  • テンペラ画に興味がある方
  • 中世やルネサンス絵画、宗教画が好きな方
  • 仏画・神仏画の新たな表現方法を探している方
  • アクリルや油彩にはない世界観を求めている方

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この記事を書いた人

神仏画・龍神画・幻想絵画を描く画家・イラストレーター。
30年以上にわたり活動を続け、オラクルカードの制作や講師としても多くの経験を重ねてきました。
オラクルカードは国内外で出版され、代表作に『光の龍神カード』『日本の密教カード』などがあります。
また、星曼荼羅など、寺院からのご依頼による仏画も手がけてきました。
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