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【日本の密教カードより】曼荼羅の仏さま~千手観音~

千の手と線の目を持つ、観音の王・千手観音菩薩

 

こんにちは。ここでは「日本の密教カード」の作画を担当している

画家・奥田みきが、本に収録されている仏さまを中心に

追加の画像なども掲載してそれぞれ仏さまについてご説明させて頂いています。

 

仏さまの功徳や成り立ちを知ると、仏像や仏画を鑑賞する楽しみも

増すことと思います!

 

「千手観音って名前は良く聞くけれど、どんな観音様?!」

と気になっている方へ向けて記事を制作しましたので、

何かのご参考になれば幸いです。

 

 

【日本の密教カードより】~千手観音とは~

 

千手観音をはじめて意識して見たのは、高校生の頃に訪れた京都の三十三間堂でした。

千体の千手観音像が整然とお堂に立ち並ぶ姿を見た時には

あまりの迫力に圧倒され、かなりの長時間その場にいたのを覚えています。

 

千手観音には沢山の手があって、それを扇のように広げているそのお姿は、

一体だけでも迫力があり、難しいことは分からなくても、

なにか凄いご利益がありそうに感じますよね!

 

 

正式名は「千手千眼観自在菩薩」

 

千手観音は救いを求める人が、本当に何が必要なのか見極め、救済して下さる仏さまです。

正式名称を「千手千眼観自在菩薩」と言います。

 

 

「千手」は分かるけれど、「千眼」は千の眼?!

 

そうなんです。

千の眼、と言っても顔に千個の眼がある訳ではなく、

千の手の全て眼がついています。

 

一つ、持物を持っていない手があるので、拡大してみますと…

やはり、手のひらに眼がついていますね!

この眼はどんな人々も余すことなく見守るために付いていて、

もちろん、あなたのことも見守ってくれているのです。

 

 

どうして千本もの手が必要だったのか?

 

人々の想いや苦しみは千差万別なので、一つの手段では救済することが難しいですよね。

 

例えば、体調の悪い人もいれば、人間関係で悩んでいる人もいる…。

 

そんな人も千手観音にかかれば、「千の手」の中から

あなたに合った救済方法を探し、救済してくれるのです。

 

つまり、千手観音はどんな場面においても人々を救うことが出来るようにと、

ありとあらゆる救済の手段を生み出し、千の手を持つようになったのです。

 

そんな最強の観音様であることから、「観音の王」や「蓮華王」とも呼ばれています。

 

千は無限を表しているそうで、

 

広大無限の力を発揮することが出来るのが千手観音なのです。

 

 

三昧耶形は開蓮華

 

ちなみに三昧耶形は開蓮華です。
(形三昧耶とは、密教でその仏を表す象徴物のことです。

例えば地蔵菩薩が持っている、如意宝珠などもそうです)

 

千手観音~手の数と造形~

 

千手観音は「千の手」を持つとと言われていますが

日本では一部の作例を除き、千本ではなく

「40本の手」で造形されます。(正面の合掌を含めると42本です)

さて、それはなぜでしょうか?……。

 

 

計算が合わないよね? どうして?

手が40本の理由

 

千手観音の腕がなぜ、40本で造形されているかといえば

一本の手で25の世界を救うとされているからです。

つまり、40×25=で1000本なのです。

 

通常の千手観音像は前記の様に40の手で作られていますが、

これは実際に千本の腕を作る事が難しかった、と言うこともあります。

(特に仏画ではスペースが限られているので、よほど大きな絵でもないと

千本の腕を描くことは難しいでしょう)

 

実際に千の手を持つ仏像がないかと言えば、本当の千手の仏像も造られています。

大阪府の葛井寺奈良の唐招提寺の千手観音像は、千本以上の手を持っています。

(葛井寺の千手観音は造形的に肩から千の手を出すことは難しかったようで

後ろから見ると手を背負う形になっています)

 

ちなみに、タイや中国などの千手観音は、小さな手が扇や孔雀の羽の

ように広がっている作例もあり、とても美しいです!。

 

 

頭の上からも全方位を見守ります

 

千手観音は頭上にも11面が配置されています。

これも全方位から人々を見守る為ですが

実は本来は27面だそうです!

27面には、十波羅密(じっぱらみつ)という、悟りへの実践手段を示したものがついているそうです

(京都・法性寺/千手観音立像は27面の千手観音菩薩です)

 

私の描いたこちらでは、11面で描かれています。

 

 

「多臂」について

 

千手観音は日本の仏像の中でも、最も多くの手を持つ仏像です。

仏教には多くの腕を持つ仏さまが登場しますが、これらは「多臂」と呼ばれます。

 

例えば八本の腕を持つ仏像を「八臂(はっぴ)と呼ばれるように

本数に「臂」がつく感じです。

本腕でしたら、四臂(よんぴ)ですよね。

 

八臂では八臂弁才天、軍荼利明王、他多数

六臂では愛染明王や大威徳明王、他多数

などがいらっしゃいます。

 

ちなみに「臂」は腕のことを言います。

 

千手観音の眷属とは?

 

 

 

千手観音の眷属は二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)です。

(眷属とか部下のようなものです)

 

天部の最高位である帝釈天(たいしゃくてんおう)
大梵天王(だいぼんてんおう)もここに属します。

他にも二十八部衆で有名なのは

阿修羅(あしゅら)や毘沙門天(びしゃもんてん)

迦楼羅(かるら)などの名が上げられます。
蒼々たる顔ぶれですね。

 

さすがに観音の王! ちなみに僕、せいたか童子は不動明王の眷属です

 

千手観音のご利益

 

所願成就、縁結び(恋愛や仕事関係の付き合い)、除災、眼病、

 

また、子年の守り本尊でもあります。

 

千手観音の真言

 

 

オンバザラタラマキリク

 

千手観音の有名寺院

 

 

大阪・葛井寺

 

葛井寺の千手観音は40本の大手と、1001本の小手と合わせて1043本の手を持っておられます

座像でお顔は繊細で、大変美しいお姿です。

大阪藤井寺市にある葛井寺(ふじいでら)のサイト。西国五番の札所、1300年の歴史を持つ。日本一である1043本の手を持つ…

 

 

奈良・唐招提寺

高さが5メートル以上ある千手観音は圧巻のお姿です。
大手42本、小手911で合計で953本の腕を持っていますが、本来は千本あったとされています。

 

南都六宗の一つである律宗の総本山唐招提寺は、多くの苦難の末、来日をはたされた鑑真大和上により、天平宝字3年(759)に戒…

 

京都・三十三間堂

左右に千体の仏像に囲まれ中央に安置されて座像は「中尊」と呼ばれます。
千体の千手観音はそれぞれ違った時代に作られている為に、少しずつ時代の特徴も異なります。

 

千手観音の持物

 

 

 

千手観音の手を見ると、殆どの手に何か持っている事に

お気づきになると思います。

これらを「持物(じもつ)」と呼びます。

 

以下では図を使って持ち物をご説明します。

私自身が実際に絵を描いてみて、疑問に思ったことなどを、教えて頂いたり調べた物です。

自分の記録の整理と、詳しく持物の事がお知りになりたい方の

ご参考になれば幸いです。

 

持物の順番

 

千手観音は持物の順番は決まっているのですが、

仏像は作例によって位置が異なります。

それは「第一手には宝珠を持ち」というのは決まっていても

仏像の工房によって、どれを「第一手」とするかが、違っていたからなのです。

 

例えば、手を奥行き2列で付けるか、3列で付けるかなど各工房によって違っていて

それ故、持物の位置が仏像によってもそれぞれ違っているのです。

 

まずは経典に書かれている順番を掲載します。

 

1-宝珠(ほうじゅ)

2-羂索(けんじゃく)

3-宝鉢(ほうはつ)

4-宝剣(ほうけん)

5-三鈷(三鈷)-跋折羅(ばさら)とも

6-金剛杵(こんごうしょう)

7-施無畏印(せむいいん)

8-日精摩尼(にっしょうまに)

9月精摩尼(げっしょうまに)

10-宝弓(ほうきゅう)

11-宝箭(ほうせん)

12-楊柳(ようりゅう)

13-白払(びゃくほつ)

14-胡瓶(こへい)

15-傍牌(ぼうはい)

16-鉞斧(えつふ)

17-玉環(ぎょくかん)

18-白蓮花(びゃくれんげ)

19青蓮花(しょうれんげ)

20宝鏡(ほうきょう)

21-紫蓮花(しれんげ)

22-宝篋(ほうきょう)

23-五色雲(ごしきうん)

24-唐瓶(からびん)=胡瓶(こへい)

25-紅蓮華(ぐれんげ)

26-戦鞘(せんしょう)

27ほら貝

28-ドクロ

29-数珠(じゅじゅ)

30-宝鐸(ほうたく)

31-宝印(ほういん)

32-倶尸鉄 鈎(くしてつこう)

33-錫杖(しゃくじょう)

34-合掌(がっしょう)

35-化仏(けぶつ)

36-宮殿(きゅうでん)

37-宝経(ほうきょう)

38-金輪(こんりん)

39-頂上化仏(ちょうじょうけぶつ)

40-葡萄(ぶどう)

 

以上が経典での順列になります。

 

千手観音~持物の詳細・1~

 

ここから先は私の絵でのご説明になります。

私はとある仏画の持物の位置を参考に作画しました。

 

中央

まずは中央からです。

 

1.合掌

 

正面で合掌している手です。

 

2.宝鉢(ほうはつ)

腹部の病を取り除いてくれる。
鉢とは修行者の使う食器の事です。
千手観音はこの鉢に、食べ物を呼び寄せることが

出来るとも言われています。

 

3.紫蓮華(れんげ

蓮の花です。観音菩薩の多くが持っています。

 

4.白蓮華(びゃくれんげ)

蓮の花です。観音菩薩の多くが持っています。
蕾の状態は修行中の菩薩を表します。
この蕾の状態は作者の解釈によって、開いた状態にものもあります

 

~千手観音~持物の詳細・2~

 

 

画面左上

画面の左上になります。

 

5.錫杖(しゃくじょう)

地蔵菩薩が持っている杖です。

この法具の「シャンシャン」と言う音は、人々の心に善心を呼び起こします。

 

6.跋折羅(ばさら)

両端が三つ又になった杵です。
仏法を守り煩悩を打ち砕く法具です。
金剛杵(こんごうしょ)とも呼ばれ、元はインドの武器でした。
蔵王権現など多くの仏さまが持っています

(金剛杵には先が三つになった、三鈷杵(さんこしょ)。
五つになった五鈷杵(ごこしょ)、
一つの独鈷杵(どっこしょ)などがあります)

 

 

7.宝印 (ほういん)

優れた弁説が出来る力を与えてくれます。

 

8. 金輪(こんりん)

仏敵を打ち砕き、煩悩を打ち砕く法具です。

 

 

9. 月精摩尼

熱や毒を消す宝の珠です。月輪(がちりん)ともよばれます。

月光菩薩の持物です。

 

 

10. 化仏(けぶつ)

小さな如来、観音菩薩の化仏は阿弥陀如来です。

 

11.五色雲(ごしきうん)

仏の智慧を象徴する五色の雲。

不老不死を得るとされています。

 

 

12.青蓮華(しょうれんげ)

極楽浄土の象徴です。
千手観音が手に持っている蓮は全部で4色で

「白、青、紫、紅」です

 

~千手観音~持物の詳細・3~

 

画面左下

画面の左下になります。

 

13.宝経(ほうきょう)

経典や仏典のことです

 

14.葡萄(ぶどう)

たわわに果実を実らせる事から、

五穀豊穣のご利益があるとされています。

 

15.宝剣(ほうけん)

あらゆる邪を断ち切る。柄が三つ叉に分かれています。

 

16.楊柳(ようりゅう)

体のあらゆる病を治し、幸福を授けてくれる。
三十三観音で楊柳観音もいらっしゃいます。

 

17.念珠(ねんじゅ)

間が持つ、108の煩悩を断ちきる力を与えてくれます

 

18.宝箭(ほうせん)

宝弓と対をなします。良き友に巡り合れるとされる矢です

 

 

19.鉞斧(えつふ)

鉄斧(てっぷ)とも呼ばれます。
役人の難から逃れることが出来る法具です。

 

20.髑髏杖(どくろじょう)

一切の悪を降伏させる法具です。
命の大切さをあわらす縁起物でもあります。

 

21.軍持(ぐんじ)

水瓶(すいびょう)、澡瓶(そうびょう)とも呼ばれます。

功徳のある水が入っています
仏の世界に生まれ変わらせてくれます

 

22.施無畏印(せむいいん)

仏さまの印相の一つです。
何も持たない手は、人々に「恐れることはない」と伝えています。

 

~千手観音~持物の詳細・4~

 

画面右上

画面の右上です

 

23.戟鞘(げきしょう)

三叉戟(さんさげき)とも言われ、

毘沙門天や増長天、一部の明王の持物でもあります。
仏敵を追い払う武器ですが、五穀豊穣を授ける法具でもあります。

 

24.金剛杵(こんごうしょう)

三叉戟(さんさげき)とも言われ、

毘沙門天や増長天、一部の明王の持物でもあります。
仏敵を追い払う武器ですが、五穀豊穣を授ける法具でもあります。

 

25.宝鏡(ほうきょう)

広大な智慧を得る事が出来きます。

 

26.宝篋(ほうきょう)

篋は経典を入れる箱のことです
冥福を授ける法具です。
地中に隠れた宝を授けてくれます。

 

27.玉環(ぎょくかん)

良き人間関係を与えてくれ、優れた人材をあつめます。

 

28.日精摩尼(にっしょうまに)

熊野権現のお札で知られる、三本足のカラス。
闇を照らす法具で、日光菩薩の法具です。

日輪とも呼ばれます。

 

29.頂上化仏(ちょうじょうけぶつ)

大きさが小さい為に「化仏」と同じに表現されることが多いですが
化仏と描き分ける場合には
頂上化仏が布で手を隠していて、

阿弥陀印相が化仏になります。

 

 

30.宮殿

浄土にある宮殿に導いてくれます。
福寿、円満を授けてもくれます

 

31.紅蓮華(ぐれんげ)

天上に通じる慈愛の象徴です。
開いた蓮は悟りを開いた如来を象徴します。

 

32.宝弓(ほうきゅう)

良縁を得ることが出来る。出世をかなえる。

弁才天、愛染明王の持ち物でもあります。

 

33. 法螺(ほうら)

悪霊を退散させ、善神を呼び寄せてくれます。

 

 

~千手観音~持物の詳細・5~

 

画面右下

 

画面右下になります。

 

34.宝珠(ほうじゅ)

如意宝珠とも呼ばれる不思議な珠です。

災いを取り払い願いを叶えてくれます。

 

35.傍牌(ぼうはい)

魔を追い払う盾。

龍や霊獣が描かれています。除災の功徳があります

 

36.白払(びゃくほつ)

払子(ほっす)とも。
はたきの形をした法具で、煩悩や障害を追い払ってくれます

 

37.羂索(けんじゃく)

苦しむ人々を救う。

五色の紐で作られており、不空羂索観音や不動明王の持ち物。

 

38.倶尸 鈎(くしてつこう)

先端が直角に曲がった棒状の武器
龍神を操るともされています。

 

39.宝鐸(ほうたく)

美声を与えてくれます。
五鈷鈴(ごこれい)を持つこともあります。

(五鈷鈴は持ち手の部分が五つに分かれているものです)

 

40.胡瓶(こへい)

唐瓶とも。

注ぎ口が鳥の頭の形をしている、ペルシャ風の水差しです。

人間関係の和合を授けてくれます。

 

まとめ

 

画像が多くなりましたが、千手観音の一つ一つの法具には

こんな意味があるんだ!

と思って鑑賞して頂けると面白いと思います。

 

沢山の功徳を与えて下さる仏さまと言うだけではなく、

仏像や仏画としてもとても美しい千手観音菩薩です。

仏像も沢山の作例があり、各所の寺院に奉られていますので

目にする機会も多いかと思います。

 

是非お寺や博物館で、じっくりとそのお姿を眺めて見て下さいね!

 

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