初心者でも分かる仏画の描き方~基本の顔の形~

初心者でも分かる仏画の描き方~基本の顔の形~

こんにちは。幻想画家の奥田みきです。

私は「日本の密教カード」や「大人の塗り絵・美しい仏画編」なども出版し今の人達にも馴染みやすい、現代的な仏画を描いています。

仏様の魅力をもっと多くの人にも知って頂きたい。もっと気軽に仏様の絵を描いて頂きたい、と言う思いから、

このブログでは「ネット・仏画教室」として初心者でも分かる「奥田みき式・仏画の描き方」をご紹介しています。

初回は仏様のお顔の各部分の名称や、描き方の説明になります。

お楽しみ頂ければうれしいでです。

 

▼着彩の手順の記事はこちらです。

仏様の描き方 ①「仏画イラスト」、「仏絵」言い方は様々です。

下記のページでも触れていますが、描き方の説明の前に少しだけ「仏様を描く事」について触れさせて頂きます。

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上記の記事にもあるように、仏様のお姿には色々な「決まり」があります。

私の描く仏画は、背景や全体の雰囲気などにはオリジナル性を持たせることが多いですが、それぞれの仏様の持物やポーズなどは、その仏様の決まりをきちんと抑えたいと思って描いています。

仏様のお姿や祈祷の仕方などは「儀軌(ぎき)」と呼ばれる典籍に記載されており、一般の人には分からない箇所も多いのですが、幸い一緒にお仕事をさせて戴いている僧侶の方などにもお聞きする機会もあるので、色々学ばせて戴いています。

ちなみに「正統な仏画(信仰の為の仏画)」以外の名称は「仏教美術」や「仏画イラスト」、「現代仏画」、「仏絵」などなど、色々な言い方があると思います。

言い方は違っていても、癒やされる仏様のお姿に惹かれ、描きたいと思う気持ちは同じだと思います。

仏様の描き方② 仏像・仏画の頭部の名称「仏の三十二相」

 

さて、仏様の造形ですが、仏様を見ていると普通の人間とは違って特徴的な造形をしているのにお気付きだと思います。

これは仏の三十二相と呼ばれています。

仏の三十二相は仏様の超越したお姿を仏像や仏画に表すために決められている、様々な特徴のことを言います。

その中で、見た目ですぐに分かる特徴を三十二相と呼び、さらに微細な特徴は八十もあります。

この八十種好を合わせ、三十二相八十種好と呼びます。

 

幾つか例を挙げてみます

真青眼相(しんしょうげんそう)

瞳が紺青色です。(ちなみに髪も(紺青色)です)

白毫相(びゃくごうそう)

眉間の「○」の印のようなものです。

眉間に右巻きの白毛がはえ、ここから光明を放っています。

白毛相(びゃくもうそう)とも言われています。

その他に
声が美しい、

足の甲が亀のような良い形

(全身像の仏さまのお姿を見ると、確かに足の甲が高いのがわかります)などなど色々あります!

 

過去の仏師の方々はこれを元に、人々が拝めるのにふさわしい「仏様」のお姿を、仏像や仏画として具現化して行ったのです。

 

 

 

上記では観音菩薩のは頭部の名称を図にしました。

観音様宝冠に阿弥陀如来の「化仏があるのが特徴です。

 

観音様についての記事はこちら

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三道

 

ちなみに首にある三本の皺「三道」は三十二相には含まれていませんが、代表的な特徴の一つになっています。

これは「皺」ではく、悟りに至る三段階を表していると言われています(諸説あり)

 

 

色々あるんだね~!

仏様の描き方 ③仏画の仏様も、基本は人の形

 

私も講座をやっていて色々な生徒さんを見てきたのですが、「人間」描くのが苦手な方は多いですよね。(私です(笑)

それというのも、人と言うモチーフは人間が最も見慣れているもので、少しでもデッサンが狂っていると絵を描かない人が見ても「何か変?」と違和感を感じてしまうからです。

人物を上手く描くには幾つかポイントと、正しい練習方があります。

 

詳しいことは又別途デッサンの記事を執筆する予定ですが、今回は「仏画」に必要な箇所を抜粋してご説明します。

ここでは「写仏」ではなく、下絵なしに仏さまの絵を描けるような手順を説明して行きたいと思います。

【仏画教室】~仏様の描き方~④ 観音様の仏像を例に立体で見てみる

 

さて、前置きが長くなりましたが、顔の描き方をご説明していきますね。

上記は観音様の立体を分かりやすくモノクロにしたものです。

仏画は普段は平面的に描かれることが多いのですが、上記の仏像の写真を見て戴くと分かるように、(当然ですが)本来は立体の形をしていています。

なので、普通の人間と同じように「卵形」に影がつきます。

(目の周りの筋肉、細い鼻筋など、実際の人間とは違う箇所もありますが、大きな形は一緒です。)

これを下記で、分かりやすく色分けして見ました。

 

オレンジの部分が明るい部分で、青い部分が影の部分です。これは通常の人間と同じで

オレンジ=おでこや鼻の上の面、頬の出っ張りなど

 

青~側面になります。

 

仏画は西洋画のように強い影を入れることはしませんが、薄い影の中にも上記の図のように正しい影が入れてあると、立体感を感じる絵にすることが出来ます。

ちなみにこちらが通常の人間の面取りしたものです。人の形(デッサン)はこの面取りが理解出来ると形を取りやすくなります。

特に、実際のモデルが目の前にいない状態で「想像で組み立てる」必要がある絵ではとても需要です!

(イラストや仏画などは、殆どの場合モデルをそのまま描くと言う事はしませんよね)

面取り=立体をブロック分けして描く事。頭部に限らず、ブロック分けをして考えると立体が捉えやすいです。

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【仏画教室】~仏様の描き方~⑤ 十一面観音の作例で見てみましょう

 

(画像は「大人の塗り絵~美しい仏画編」から一部抜粋)

さて、前記の立体を実際の仏画に当てはめてみましょう!

①完成図 まずは完成図を見て下さい

②骨格のライン

頭蓋骨と顎の形は人の顔の基本的構造です。これが理解出来ていると安定感のあるお顔になります。

上記の図でも、普通の人間と同じように骨格にはまっているのが分かります。

③影

 

仏像と同じように、明るい部分に黄色を、暗い部分に青を乗せてみました。実際はこれほどは影を入れませんが、こんな影を意識して描いています。

こうして、正しい骨格や影を入れることが出来ると、収まりの良いプロポーションになります。

(完成図(大人の塗り絵の見本画のため、色鉛筆で制作しています。

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【仏画教室】~仏様の描き方~⑥ 菩薩(孔雀明王)の作例で見てみましょう

次に正面顔で見て見ます。

①完成図

 

②図解骨と顎の骨

 

③目、鼻、口のガイドライン

(この辺りに入ると言うアタリです)

これを描いてから描くと、描きやすいです。

 

④影・凹凸を塗って見ました。

普通の人間と違って、鼻筋が細く、目のくぼみが大きいのが特徴です。

(なので仏さまの目は結構大きく見えます!)

【仏画教室】~仏様の描き方~⑦ 仏像・仏画は時代によって変化する

仏像仏画は、飛鳥時代、平安時代。江戸時代など、時代によって変化して来ました。

その時代時代で好まれるお顔や、プロポーションも違っていて「流行」という物も当然ありました。近年では様々なタイプの「仏画」があって、それぞれの作家の人がそれぞれ個性的な表現で、そのお姿を描いています。

(中には乙女ゲームで仏さまの題材などもあり!ちょっとビックリすることもありますがそれだけ人々が仏さまのお姿に惹かれると言うことだと思います)

 

私自身、昔は「正統な仏画以外で仏さまを描くなんて駄目!?」

と長い間思っていたのですが、そういった自由な表現の仏画を拝見していてもたってもいられなくなり、自分でも本格的に取り組んでみたいと思い、現在に至ります。

仏画に興味を抱いて戴いた方は、見るのも楽しいですが是非ご自身でも描いて見て下さい。仏さまをとても身近に感じることが出来ますよ!

このカテゴリーでは少しでも皆様が仏画を楽しめる様に、色々解説して行きたいと思います。

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まとめ

普通の仏画(写仏)はあまり立体感を出しませんが、現代の作品では色々な表現があって面白いです。

いずれ、そんな現代仏画を描く画家も紹介させて戴きますね。

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