こんにちは、奥田みきです。
今日は、少し真面目なお話をさせてください。
絵を描くという時間は、私にとって単に筆を動かすことではありません。
一筆ごとに感性をのせ、時間をかけ、魂を注ぎ込む。
そうして生まれる作品は、私自身の分身のような存在です。
だからこそ、いま急速に広がっている「AIによる無断学習」について、私の今の正直な気持ちを言葉にしておこうと思います。
私の作品に対するスタンス
私はこれまで、神仏画や龍神画、女神など、目に見えない存在をテーマに描き続けてきました。
それらは、長い時間をかけてその存在と向き合い、探究を重ねてようやく形になったものばかりです。
構図、衣装の細かな装飾、色使い……そのすべてに、私なりの物語が詰まっています。
だからこそ、私の知らないところで画像が切り取られ、AIの「素材」として扱われてしまうことに、強い危機感と悲しさを感じています。
「アレンジ」は、決して嬉しいことではありません
実は、今回この記事を書こうと決めたのには理由があります。 先日、SNSで「明らかに私の描いた女神の絵を、AIでアレンジした画像」をアイコンにされている方を見かけてしまったからです。
その女神様は、私が長い時間をかけて、衣装の細部までこだわり抜いてデザインした作品でした。
他にはないオリジナルのデザインだからこそ、ひと目で「あ、私の絵が使われている」と分かってしまいました。
自分の魂を込めた作品が、知らないうちにAIのフィルターを通され、形を変えて使われている。その光景を目の当たりにしたとき、言葉にできない悲しさを感じました。
たとえ好意からであっても、AIを使って私の絵を勝手にアレンジされることは、作者としては心が痛む行為です。
私の作品は、便利な「素材」ではありません。 “勝手に使ってもよさそう”という空気感が広まってしまうことは、作り手の描きたいという意欲をそぎ落としてしまうのです。
神話画だからこその「危うさ」
私が描く神話や神仏の世界には、実在する資料がほとんどありません。
だからこそ──
装飾の一つひとつまで、自分の感性を頼りに、何日もかけてデザインを練り上げています。
背景に広がる模様、衣の意匠、神聖さを込めた構図──
すべてが“私の解釈”で生まれた、唯一の世界です。
その分、AIに学習されてしまった時の影響は大きく、
「これは私のデザインだ」と、すぐに分かってしまいます。
この先も神話の神様を描き続けていく上で、著作権や創作物に対する理解が浅い人が、
「素敵なデザインだから」、「AIに読み込ませてアレンジすれば、自分の神様絵になる」──
そんな軽い気持ちで模倣してしまう未来を想像すると、
ただ悲しいというより、“恐怖”に近いものを感じます。
神話は誰のものでもない“共有された物語”ですが、
そこに命を吹き込む表現は、ひとりひとりのアーティストに委ねられています。
私は、描く者としての“責任”と“祈り”をこめて、これからも神仏を描いていきたいのです。
AI生成画像というもの
ここで少し、AIで生成される画像が「どうやってできているのか」についても触れておきたいと思います。
AIが作り出す画像は、天から降ってきた「ギフト」ではありません。
AIは、インターネットに存在する膨大な作品たちを読み込み、そこに含まれる構造や特徴を解析し、
組み合わせ、再構成して作られています。
つまり、
AIの背後には、無数のクリエイターの努力と作品があるということです。
私自身、バナーの背景制作やアイデアを練るための資料作りなど、便利な「道具」としてAIを活用することもあります。 効率化できる部分はAIに助けてもらい、その分、メインとなる絵を描く時間に魂を注ぎたいと考えているからです。
ですが、だからこそ「使い分け」のルールが大切だと感じています。
それは、「AIという便利な道具を使うこと」と「他人の権利を侵害すること」は、全くの別物であるということです。
AIを使う際には、著作権の切れている古典的な画家の作品などを除き、
現役の作家や、今も活動しているクリエイターの作品を読み込ませないという意識が必要です。
便利な技術だからこそ、使う側のモラルが問われる時代になってきているのだと思います。
「知らなかった」では済まされないリスク
実際、海外ではすでに「生成AIによる著作権侵害」をめぐる訴訟が複数起きています。
特に有名なものでは、Stability AIやMidjourneyが、無断でアーティストの絵を学習させたとして集団訴訟を起こされたケース。
また、Getty Imagesが「自社の写真とロゴがそのままAI画像に使われている」として提訴した例もあります。
これらはすべて、AIが“ゼロから生み出している”わけではなく、他者の作品の蓄積の上に成り立っているという証拠でもあります。
AI画像が他者の作品をもとに構成されているという現実は、
実際に多くのクリエイターに深い痛みを与えています。
日本でも、人気イラストレーターの絵柄がAIに模倣され、
「〇〇風画像」として拡散されたことが問題になりました(さいとうなおき氏など)。
こうした“絵柄の盗用”は、法的には曖昧でも、創作する者にとっては非常に深刻な問題です。
実際にさいとうさんは、
「自分の絵を“素材”のように扱われることが、本当に苦しい」と語っています。
絵柄だけでなく、その中に込めた想いや積み重ねまで軽んじられる感覚──
それが、多くの表現者にとって何よりの痛みなのだと思います。
「AIが作ったものだから大丈夫」と思い込んで、他人の著作権や意欲を損なうような使い方をすることは、表現者として、あるいは利用者としてとても危ういことです。
実際、コンプライアンスを重視するきちんとした企業などでは、法的なクリアランス(権利関係の確認)が取れていないAI画像は、トラブルを避けるために一切使用しないという厳しい判断がなされています。
AIを使う側も、その画像が「多くのクリエイターの研鑽の結果」の上に成り立っていることを理解し、正しい知識を持って向き合うことが求められる時代なのだと感じています。
これからの対策:Glaze(グレイズ)の導入
大切な作品を守るために、具体的な対策を始めることにしました。
まず、「Glaze(グレイズ)」という技術的な防御ツールを導入します。
これは、見た目にはほとんど影響を与えませんが、AIによるスタイルの模倣を防いでくれる、作家にとっての守護神のようなツールです。
今後、Instagramやオンラインショップの画像は、順次このGlazeを通したものに差し替えていく予定です。
「NO AI」という意思表示
あわせて、画像の隅に「NO AI」マークを入れさせていただきます。
これは単なる拒絶ではなく、「この作品は、AIではなく人間の手で、大切に生み出されたものです」という私の宣言です。
同じクリエイターのみなさんへ
これは、私一人の問題ではないと感じています。
絵を描く人、写真を撮る人、言葉を紡ぐ人。 何かを表現するすべての人にとって、他人事ではない時代が来ています。
誰かの作品に触れるときは、ルールを守ること。 そして自分の作品を守るために、新しい知識(Glazeなど)を持っておくこと。
これからも、私が私らしく絵を描き続けていくために。 そして、表現者のみなさんが安心して創作を楽しめる未来のために。 静かですが、確かな一歩を積み重ねていきたいと思います。
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