
こんにちは、幻想画家の奥田みきです。
天使というと、白い羽を持つ美しい存在を思い浮かべる方も多いでしょう。
実は天使には、古くから伝わる「階級」や役割の違いがあるのをご存じですか?
この記事では、
- 天使とはどんな存在?
- 9つの天使階級とは?
- それぞれの天使の役割と特徴
…などをやさしく解説していきます。
スピリチュアル初心者の方にもわかりやすく、天使の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです。
ちなみにこのテーマに関連して、以前Bayfmさんからお声がけいただき、ラジオ番組で「天使の存在や魅力」についてお話させていただいたこともあります。
こうして天使の世界を少しずつ広げられることを、とても光栄に感じています。
なお、ミカエルなど有名な天使が登場する「大天使(アークエンジェル)」については、別の記事でくわしくご紹介しています。
※この記事内の絵は、奥田みきが制作した『エンジェルプリズムカード』のオリジナルイラストを中心に使用しています。
- 1. 天使・エンジェルとは?~天使はどのような存在でしょうか?~
- 2. 天使の翼は“光のオーラ”?
- 3. 天使には性別があるの?
- 4. 天使の階級とは?その起源と成り立ち
- 5. 天使の階級はどこから来た?──出典の違いを解説
- 6. あなたのそばに寄り添う存在「守護天使(ガーディアンエンジェル)」
- 7. 天使の名前の意味とは?──「エル」に込められた神の名
- 8. 天使の名前の意味とは?──「エル」に込められた神の名
- 9. 天使・エンジェルとは│ギリシャ神話の“天使のような存在”
- 10. 天使・エンジェルとは│スピリチュアルの中の天使たち
- 11. 天使・エンジェルとは│ルシファーと堕天使たち
- 12. まとめ|光と闇を超えて
- 13. 天使のジクレー版画
天使・エンジェルとは?~天使はどのような存在でしょうか?~

(画像は「楽園の祝福」 聖母マリアと大天使ミカエル、大天使ガブリエル)
天使とは、神の意思を伝える「御使い(みつかい)」として、人々にメッセージや導きをもたらす霊的存在です。
本来はユダヤ教やキリスト教の聖典に登場する神聖な存在でしたが、時代とともに神秘学・錬金術・占星術・スピリチュアルなど、さまざまな思想体系の中に取り入れられ、より多面的な存在へと発展していきました。
「エンジェル(angel)」という言葉は、ギリシャ語の「アンゲロス(angelos)」=伝令・使者に由来します。
つまり、天使とは「神の言葉を人間に伝える者」なのです。
天使の原型は、バビロニアやペルシャ神話における空を飛ぶ霊的存在にも見ることができますが、現在私たちがイメージするような「白い羽を持つ光の存在」としての天使像は、聖書の記述と中世のキリスト教神学の影響を受けて形成されました。
一方で、近年ではアートや映画、漫画、小説といった大衆文化の中でも天使は広く親しまれ、さらにスピリチュアルな存在として「癒し」や「導き」をもたらす存在として捉えられることも増えています。

天使の翼は“光のオーラ”?
天使と聞いてまず思い浮かべるのは、「大きな白い翼」ではないでしょうか。
しかし実は、聖書の中では天使に翼があるとは明記されておらず、初期のキリスト教美術でも翼は描かれていなかったとされています。
中世以降、天使は芸術作品の中で“翼を持つ存在”として描かれるようになり、現代の私たちの間でも「天使=羽のある姿」というイメージが定着しました。
スピリチュアルな解釈では、この翼は光のオーラが波紋のように広がった姿ともいわれており、物理的に飛ぶための翼ではありません。
その広がりは、見る人の心を包み込むような、安心感や祝福の象徴とされています。
天使には性別があるの?
天使は肉体を持たない純粋なエネルギー体=光の存在であるため、人間のような明確な性別はありません。
しかし、多くの人が感じ取るエネルギーの質によって、「男性的」「女性的」といった印象を持たれることがあります。
たとえば、
- 男性的なエネルギーを感じさせる天使…ミカエル、ウリエル
- 女性的なエネルギーを持つとされる天使…ハニエル、ジョフィエル、ガブリエル など
また、天使は本来“姿”を持たないため、必要に応じて人間に分かりやすい形で現れるとされます。
多くの人が「クラシカルな天使像」を思い浮かべるのは、彼らが私たちのイメージに合わせて姿を見せてくれているからかもしれません。

天使の階級とは?その起源と成り立ち

天使の階級は、5〜6世紀ごろのキリスト教神学者「偽ディオニュシウス・アレオパギテス」が著した『天上位階論』に基づいています。この書では、天使が9つの階級に分かれ、3つのグループ(位階)に整理されているとされます。
この体系は、トマス・アクィナスなど中世の神学者や哲学者に受け継がれ、さらにカバラ(ユダヤ神秘主義)やルネサンス期のオカルティズム、近代スピリチュアル思想にも影響を与えました。
下記で「天使の九の階級」を図と表でまとめてみました。

【第1階級】神の玉座に最も近い存在
🔥 セラフィム(熾天使)
- 出典:イザヤ書(旧約聖書)/偽ディオニュシウス
- 神の愛の炎を象徴し、常に神を賛美する存在。
- 6枚の翼を持ち、神の御前に仕える。
🌟 ケルビム(智天使)
- 出典:創世記・エゼキエル書(旧約聖書)
- 神の知恵や神秘を守る天使。
- 剣を持ち、楽園の門を守護する役割で知られる。
💠 スローンズ(座天使)
- 出典:偽ディオニュシウス『天上位階論』
- 神の意思や法則を物質界に反映させる媒体的存在。
【第2階級】宇宙の秩序と力を司る天使
⚖ ドミニオンズ(主天使)
- 出典:偽ディオニュシウス
- 他の天使たちを統率し、天の秩序を保つ役割。
⚡ ヴァーチューズ(力天使)
- 出典:偽ディオニュシウス+拡大解釈
- 奇跡や自然の力、天体の運行に関与。
🛡 パワーズ(能天使)
- 出典:偽ディオニュシウス
- 善と悪のバランスを保ち、悪霊や堕天使と戦う存在。
【第3階級】地上世界に最も近い天使
👑 プリンシパリティーズ(権天使)
- 出典:偽ディオニュシウス
- 国や民族、宗教・組織など集団の守護を担う。
🕊 アーケンジェルズ(大天使)
- 出典:聖書(ミカエル・ガブリエルなど)
- 神の重要な使命を地上に伝える存在。
- 多くの宗教画や伝承に登場し、親しみのある階級。
💌 エンジェルズ(天使)
- 出典:広義の聖書+スピリチュアル思想
- 個人の守護天使や、直感・夢を通じて人々に寄り添う存在。

天使の階級はどこから来た?──出典の違いを解説
天使の階級や役割は、すべてが聖書に記載されているわけではありません。以下のようにさまざまな出典や思想が入り混じっています。
出典 | 主な内容 | 対象となる階級・特徴 |
---|---|---|
聖書(旧・新約) | セラフィム、ケルビム、ミカエルなど実名で登場 | 熾天使・智天使・大天使・天使など |
偽ディオニュシウス『天上位階論』 | 9階級の体系化 | 全階級 |
神秘学(カバラ、セフィロト) | 天使を生命の樹のセフィラに対応づける | 主に中階級〜大天使 |
近現代スピリチュアル | 天使をヒーリング・エネルギー体・チャネリングの存在として扱う | 天使・大天使が中心 |
天使の小話
大天使には、ミカエルやラファエルなどの有名な存在がいますが、だからといって階級が低いわけではありません。
むしろ「大天使」とは、人間界に近い場所にいて、私たちを常にサポートできる存在として働いている階級なのです。
あなたのそばに寄り添う存在「守護天使(ガーディアンエンジェル)」

「天使」と聞くと、天上界に住む遠い存在のように思えるかもしれませんが、実は私たち一人ひとりにも、最初から最後まで寄り添ってくれる天使がいるとされています。
それが「守護天使(ガーディアンエンジェル)」です。
守護天使とは、生まれたときから生涯にわたり守ってくれる存在
守護天使とは、人が生まれたときから死を迎えるまで、常にそばにいて見守ってくれる天使のことを指します。
聖書では明確には記されていませんが、**「人には特定の天使がついている」**という考え方は、古くから存在してきました。
守護天使は、その人が善い行いを選べるよう導き、時には危険から守り、臨終の際には魂を導くとも伝えられています。
(これは、死後に魂が悪しき存在にさらわれるのを防ぐという古い信仰にも関係しています。)
現代のスピリチュアルでは、守護天使は「いつもそばで見守ってくれる優しい存在」として親しまれています。
二人の守護天使という説も
一説では、私たちには二人の守護天使がついているともいわれています。
- 一人は、私たちが前向きに生きられるよう、勇気や希望を与えてくれる天使
- もう一人は、悲しみや困難のときに寄り添い、そっと慰めてくれる天使
この二人の守護天使は、あなたの人生のすべての瞬間を共に歩みながら、静かに見守り支えてくれているのです。

天使の名前の意味とは?──「エル」に込められた神の名

天使の名前の意味とは?──「エル」に込められた神の名
天使の名前には、神聖な意味が込められているのをご存じでしょうか?
ユダヤ教やキリスト教における天使の名前の多くは、ヘブライ語に由来しており、その多くに「〜エル(-el)」という語尾がついています。
この「エル(el)」は、神(エロヒム、エル・シャダイなど)を表す言葉であり、
天使の名前は「神に関する何か」を意味しているのです。
たとえば…
- ミカエル(Mikael):神に似た者
- ラファエル(Rafael):神は癒す
- ガブリエル(Gabriel):神の力
- ウリエル(Uriel):神の光
といった具合に、それぞれの役割や本質を名前が表しているのです。
「エル」がつかない天使たち
すべての天使に「エル」がつくわけではありません。
たとえば、サンダルフォンやメタトロンといった天使は「エル」を持たない名前です。
この理由の一説として、彼らはもともと人間だった存在が、徳を積んで天使へと昇華したため、神名を冠していないとされています。
その他にも、偽典や外典などに登場する一部の天使――たとえばアルメン、ナレル、シェムハザなど――も「エル」を含まない例として知られています。
天使の名前は“聖なる力”を持つ
古来、天使の名前には霊的な力が宿ると考えられてきました。
神の祝福や加護が込められており、護符や儀式、魔術的な場面で使われることもあったのです。
その名を唱えるだけで、守護や浄化の力をもたらすとされ、現代でもスピリチュアルな世界では「名前を呼ぶこと」が重要視されています。

天使・エンジェルとは│ギリシャ神話の“天使のような存在”
天使というと「白い羽の生えた姿」を思い浮かべる方が多いですが、実はそれに近いイメージの存在は、ギリシャ神話やローマ神話にも登場します。
ただし、これらは「天使」ではなく、羽を持つ神々であり、厳密には天使とは異なる存在です。
ここでは、天使と混同されがちな代表的な「羽のある神々」をご紹介します。
キューピッド(クピードー)
ローマ神話に登場する**愛の神クピードー(Cupid)**は、英語で「キューピッド」と呼ばれています。
幼い子どもの姿に小さな翼、弓矢を持つ姿は、現代の「天使のような存在」として非常にポピュラーです。
※ちなみに、クピードーの元となったのは、ギリシャ神話のエロス(愛と情熱の神)です。
エオス(Eos)
ギリシャ神話の曙(あけぼの)の女神エオスも、翼のある姿で描かれることが多い神です。
夜明けの光を運ぶ女神として、天空を羽ばたくように進むその姿は、どこか神秘的で天使的な印象を与えます。
このように、西洋の神話や古典芸術の中には、天使と似たビジュアルを持つ神々が数多く登場します。
その影響が、後のキリスト教美術における「翼のある天使像」にもつながったとも言われています。
天使・エンジェルとは│スピリチュアルの中の天使たち

近年、天使は「スピリチュアルな癒やしの存在」としても、多くの人々に親しまれるようになっています。
信仰としてではなく、心を癒やす光の存在として、オラクルカードやヒーリングワークなどで天使とつながる人も増えてきました。
スピリチュアル界における天使の先駆者たち
現代スピリチュアルの世界で「天使」を語るうえで欠かせないのが、以下の2人のスピリチュアルティーチャーです。
ドリーン・バーチュー
アメリカの心理学者でありスピリチュアル作家のドリーン・バーチューは、1990年代以降、「エンジェルカード」や天使に関する書籍を多数発表し、「スピリチュアルな天使像」の礎を築きました。
彼女のエンジェルオラクルカードは世界中で広まり、スピリチュアル入門者にとっての定番となりました。
現在はキリスト教へと回帰し活動の路線を変えていますが、その影響は今も色濃く残っています。
実は、私自身もこのドリーンの「エンジェルカード」から天使に親しみ、オラクルカードの世界に入ったひとりです。
ダイアナ・クーパー
イギリスのスピリチュアルティーチャーであるダイアナ・クーパーも、天使や高次の存在とのつながりを説く著書を数多く執筆しています。
特に彼女の著作には、高次元の天使階層や宇宙的視点なども含まれ、よりスピリチュアルに深く踏み込んだ内容が多く見られます。
私が学んだ先生は、ドリーンとダイアナ両方に師事しており、
「ドリーンは親しみやすく、ダイアナはより神秘学的で複雑」だと話していました。
確かに、スピリチュアルの本場とも言えるイギリスの深遠な伝統を感じさせる世界観です。
日本における“癒やしの天使”
日本では、キリスト教文化の土壌が薄いため、「信仰」としての天使よりも、
心を癒やしてくれる存在、優しく見守る存在として天使を受け入れる方が多いように感じます。
私自身も、「祈り」や「癒やし」の中で、天使の存在をそっと感じる瞬間があります。
それは宗教というよりも、“心の灯り”としての天使なのかもしれません。

天使・エンジェルとは│ルシファーと堕天使たち

~「明けの明星」の名を持つ堕天使・ルシファー~
最後に、天使の“影”ともいえる存在――**堕天使(フォールン・エンジェル)**について、少しだけ触れておきたいと思います。
「サタン」という名前は一般的に“悪魔”の代名詞として知られていますが、
実は彼も、かつては高位の天使でした。
天使であった頃の彼の名前はルシファー。
この名はラテン語で「光をもたらす者」=**明けの明星(Morning Star)**を意味します。
ルシファーは、熾天使(セラフィム)の中でも特に美しく、十二枚の翼を持ち、神にもっとも近い存在だったとされています。
しかし、ある時ルシファーは創造主に反逆し、自らの意志で天から堕ちてゆきます。
この「堕天(フォール)」によって、彼は“光の運び手”から“闇の象徴”へと変わったのです。

他の代表的な堕天使たち
ルシファーとともに天界から追放された堕天使たちは、のちに地獄や魔界の支配者として語られるようになりました。以下はその一部です。
- アザゼル
人間の女性と関係を持ち、禁じられた知識を地上にもたらしたとされる。 - アシュタロス(アスタロト)
サタンとともに堕天し、地獄では“大公”として君臨しているとされる。 - ベルゼブル
「蝿の王」とも称され、堕天使の中でもサタンに次ぐ高位にある存在です。
まとめ|光と闇を超えて
聖書の中で、天使は「神の使い」として明確な役割を与えられてきました。
しかし中世の神秘思想や、近年のスピリチュアルな視点では、天使像はより多様に、柔軟に解釈されるようになっています。
たとえその姿や背景に違いがあっても、
多くの人にとって天使は、心を癒やし、導きを与えてくれる存在であることに変わりはありません。
天使のジクレー版画
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